経済・社会

2019.09.11 06:30

「世界の明日」をつくれるか? 研究都市つくばの挑戦

中国・大連で開かれた「サマーダボス2019」に登壇した五十嵐立青 つくば市市長


──今回、五十嵐市長にとってダボス会議は初参加ということだが、手応えのほどは?
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これだけ世界のリーダーたちが集まる場でつくば市のプレゼンスを高めることはとても重要だと考えている。たまたま昨日、会場までのバスで隣に座った参加者と名刺交換をしたら「明日のセッションで話すよね? 楽しみにしているよ」と言われ驚いた。香港から来たリーダーだったが「香港でもつくばの最近の取り組みに注目している」と。そういう意味では就任以来進めてきたことは間違っていなかったとも感じている。

つくばには、研究学園都市50年の歴史や知見がある。ただ、これまでその成果を社会に結びつけていくこと、都市としての可能性についての情報発信ができていなかったのも事実。インフルエンサーが集まるこのような場においてつくばの価値を高める発信は重要だし、多くのメディアや参加者がセッション後にも声を掛けてきてくれたので、その一歩をつくることはできたと思う。

──この「ダボス」を目標に掲げた「筑波会議」が10月に開催される。意気込みは?
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世界の若手研究者や学生たちが集まり、社会と科学に関する問題を議論する初の会議で、筑波大の永田学長がリーダーシップを発揮されている。10月2日から4日までの3日間、約30カ国から600人程度が参加する予定で、「Society5.0とSDGsを見据えた目指すべき社会の在り方とその実現に向けて取り組むべき課題」をテーマに、江崎玲於奈さんや小林誠さん、山中伸弥さんら国内外のノーベル賞受賞者数人によるパネルディスカッションなど、50の討論が行われる。

行政はこれまで、科学者の力を借りることに対して不十分だったと思う。政策形成においても、近年ようやくEBPMの重要性が認識され始めた。筑波会議では、「若手研究者版ダボス会議」との呼び声の通り、意義や哲学も含め、私たちの生活に役立つ社会の中での「科学」の価値と可能性を改めて考える場にしたい。

世界のイノベーション拠点である筑波研究学園都市だからこそできることがあるし、会議を通じて、世界につくばから新しい提案をする、そんな場になれば嬉しい。


五十嵐立青(いがらしたつお)◎つくば市市長。つくば市生まれ。筑波大学国際総合学類、ロンドン大学UCL公共政策研究所を経て筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。博士(国際政治経済学)。2004年につくば市議選 最年少、最多得票で当選。2016年から現職。

構成=谷本有香 写真=世界経済フォーラム

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