Design Opsの4つの要素
Design Opsは、連携する以下の4つの要素で構成されている。4つの要素は、Malouf氏によって最初に定義され、「DesignOps Handbook」で他のリードデザイナーたちによって標準化されたものである。
出典:DesignOps Handbook
・Workflow(ワークフロー/プロセス)
ワークフロー/プロセスの合理化。デザイナー間だけでなく、組織内の非デザイナーとのやりとりに一番効率的なワークフロー/プロセスを構築する。
・People(人材)
人員の配置と採用。デザインプロセスに必要な人数とスキルを把握し、リソースの配置や採用基準を設定する。
・Governance(リーダーシップ/管理)
デザイナーがデザインに専念するため、デザイナーが組織のリーダーになることが必要。
・Tools&Infrastructure(ツール)
デザインチームが効率的に作業するために必要なツールを決定。使用するツールとシステムを標準化するだけでなく、新しいツールを導入し、デザイナーがそれらを確実に使用する環境を整える。
もう少しわかりやすく理解するために、4本脚のテーブルをイメージしてほしい。
各脚がDesign Opsの1要素で、天板がデザイン(プロダクトやアプリ、サービスなどデザインとして認識するもの)となる。テーブルには脚が必要不可欠なように、デザイン作業にも「人」「ワークフロー(プロセス)」「リーダー(管理)」「ツール」が必要なのだ。
4本の脚は天板を支え、安定と強度を担保する。同じようにデザイン力の安定と強度を増し、維持していくために、これらの4つの要素を軸にした「運用体制」を整えていくことが求められているのだ。
日本もDesign Opsが必要な時代がくる
近年、製品開発はスピード、規模、複雑さが加速している。デザイン作業も加速するためには、正式な運用プロセスが必要である。このDesign Opsの概念は世界中で広がっており、デザインの可能性を最大限に活用したい組織にとって、近い将来「なくてはならない」存在になるだろう。デザイナーを採用する数が増えるにつれて、Design Opsの役割はより重要に、そして正式なものとなっていくだろう。
日本は今、国際的な市場で戦っていかなくてはならないというプレッシャーに直面し、イノベーションの必要性が叫ばれてる。イノベーションの源となるデザイン力を高め、国際競争力をつけるために、日本でもDesign Opsを採用する時代がすぐそこまできている。
次回以降は、Design Opsの4つの要素について詳細に説明し、国内外のデザイン先進企業がどのように実践しているかを紹介していく。