弱さが信頼性の証しとなる理由

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また広告主は長年に渡り、涙の力がブランドや製品、メッセージへの感情的なつながりを強めることを理解してきた。特に心に残る強力な広告は、涙を誘うものであることが多い。数年前、米国のスーパーボウルで流れ、ソーシャルメディアで話題を呼んだバドワイザーのCMでは、迷子の子犬をめぐる物語に全米の男性たちが涙した。英国では、百貨店チェーン、ジョン・ルイスの感動的なクリスマスCMが毎年待ち望まれる風物詩となっている。昨年のCMでは、親にピアノを買ってもらった少年が成長し、エルトン・ジョンになるという物語が繰り広げられた。

人を泣かせるべく作られたCMを前にして泣くことは気にしないのに、それが職場だとなぜ問題なのだろう? そんな疑問が生んだ風変わりな解決策が、日本の「涙活」だ。東京では企業各社が、男女問わず社員が悲しい動画を観て涙を流すセラピーセッションを実施してきた。泣くことでストレスが減らせるだけでなく、弱さを見せることで皆がひとつになれ、チーム構築やその生産性に良い効果をもたらすのだ。

弱さは、その人の信頼性を示す新たな基準となるのだろうか? そして泣くことは、それを示す究極の方法なのだろうか? 今後も思わず泣いてしまうCMが登場することは間違いないが、少なくとも一部の職場では、トイレではなく役員室で涙を流せるようになるにはまだかかりそうだ。

編集=遠藤宗生

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