亀山:現時点では皆さんのほうが100倍の力があります。でも、今のスタートアップの若いやつらは結構考えていますよ。舐めているとどんどん彼らの時代になります。むしろ彼らに協力して、彼らの力を引き出して、ついでに自分たちもマシになっていこうと思ってもいいくらいです。ちょっと生意気を言いましたけど、すみません。
谷本:スタートアップ界隈で、亀山さんはメンターとしてたくさんの若手の相談・指導をしていらっしゃいます。最後にここにいるみなさん──0→1ではなく、10を100、1000と増やしていく経営者が、これからの時代に大切にしなければならないことを伺い、このセッションを終了したいと思います。
亀山:確かにスタートアップは0→1が得意ですが、それを10、100と増やすには、資金繰りや組織をどう組むかなど経営手腕が必要です。それは我々のような大人の方が、金も力も経験も現時点では持っているはずです。
だからこそ、我々が若者と一緒にやっていくことで、彼らの力を活かしつつ、自分たちの存在意義が出せると思います。ただ、そこで「俺たちのほうが偉いんだから」って謙虚さを忘れると機会を失ってしまう。
10年前、テレビ局の買収をホリエモンや三木谷さんが考えていたと思うんですけど。じゃぁ今だと「彼らが買いたいか?」ということなんです。もしかしたら「もういらない」って思ってるかもしれない。20年前だったら、テレビ局がライブドアとか楽天を作っていてもおかしくない時代もあった。10年前は一緒にやれる時代だったかもしれない。そう考えると、今はどうなのか? そして、10年後には必要とされない時代もあるかもしれないってことです。
ITやAIがあらゆる業界に影響を与えていきます。芸能界だろうが金融界だろうが、どんどん変わっています。目の前の変化から目を背けて、弱火でじりじりと焦げていくみたいなのはちょっと避けたいかなと思います。
まあ、変化が激しくて大変ですが、知恵を絞ればチャンスもたくさんある時代です。楽しみながら、飲みながら、でも時々真面目に考えて、老若男女が一緒にやっていけば、けっこう面白い国になるんじゃないかなって思います。そんなところですかね(笑)。
亀山敬司◎DMM.com 会長。1961年石川県生まれ。19歳でアクセサリー販売の露天商から起業家人生をスタート。 プールバー、雀荘、喫茶店など様々な事業を展開後、1980年代後半レンタルビデオ店を開業。 1999年に株式会社デジタルメディアマートを設立(現:DMM.com)。現在は、DMM.comグループの会長として、動画配信、オンラインゲーム、英会話、FX、ソーラーパネル、3Dプリンター、VRシアターなど、業界の垣根を越え、多岐にわたり事業を展開している。