キャリア・教育

2019.09.13 08:00

東京は世界50都市中34位。女性起業家を取り巻く最新事情


東京の女性起業家を取り巻く環境は50都市中34位

シンガポールが21位となったWE Cities Indexは、世界50都市について、女性起業家の環境を「運用環境」(市場、人材、資本)、「実現環境」(文化、技術)と2カテゴリ・5分野について調べて作成したランキングだ。

上位は1位のベイエリア、2位のニューヨークを筆頭に、米国の都市が占めている。アジアではシンガポールが21位、23位に香港、26位に台北、そして東京の34位となる。


女性を取り巻く環境についてのランキング

東京は前回の39位からの5ランクアップとなった。東京の長所としては、市場規模、男女ともに育児休暇が認められているなどの法整備が挙げられている。高学歴の女性が多いなどの教育面では男女の開きが少ない。

前回足を引っ張ったのは、ベンチャー投資に占める女性の比率が低いこと、また女性のベンチャーキャピタルが少ないなど、資本へのアクセスだった。また、ビジネス団体における女性の比率が少ないなどの文化面の評価も低かった。議会に占める女性の比率も低く、「ロールモデルやメンターが乏しい」と指摘された。

今年のランクアップの要因について、デル常務執行役員クライアント・ソリューションズ統括本部 統括本部長 山田千代子は、「日本および東京都が女性の活躍推進を強化しており、数多くの事業立ち上げに入れていることがあるのでは」と述べる。東京都レベルでは、「東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT Women)」、国レベルでは経済産業省の「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」などがあり、コンテストを行ったり、専用のポータル(女性起業家等支援ネットワーク構築事業の「わたしの起業応援net」など)を開設するなどの「具体的なアクションが出てきている」と山田は評価する。

女性経営者で悩みを相談できる場がなかったことから2010年にエメラルド倶楽部(一般社団法人)を立ち上げ、現在も代表理事を務める菅原智美は、日本における女性起業家や女性経営者の変化について、「女性だからビジネスに支障ある、ということは確かに少なくなった」と認める。しかし、まだまだ課題はある。「企業の管理職レベルで女性がもっと活躍する必要がある」と菅原。

Dellによると、日本でベンチャーキャピタルの投資を受ける女性起業家の数は、2017年から2019年の間に4ポイント増加したという。しかし、世界の平均は14ポイント増。増えてはいるが、そのペースは世界よりも遅れている。

菅原は、女性の起業家や経営者にはパートナーや男性の協力も不可欠だと述べる。「女性の社会進出の前に、男性の家庭進出が重要ではないか」(菅原)。

文・写真=末岡洋子

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