DWENは、Dell Technologiesが2010年にスタートしたネットワークイベントだ。目的は、世界から女性起業家が集まり交流することで課題を洗い出し、解決に向けて支え合うこと。売り上げまたは資本金が100万ドル以上の企業の起業家やリーダーを対象とする。今年は20カ国から参加があった。
創業者のMichael Dellが35年前に大学の寮で起業したという生い立ちを持つDellにとって、女性起業家の支援は貢献であり、ビジネスでもある。「起業家とSMB(Small and Medium Business)は経済成長の屋台骨。あなた方の重要性を我々は理解している」とDellの最高顧客責任者、Karen Quintosは述べた。
地元シンガポールの女性起業家たち
基調講演では、地元シンガポールで活躍する2人の女性起業家が登場し、それぞれのストーリーを語った。
1人目は、2008年にカスタマイズ化粧品のSkinを創業したSabrina Tan。オンラインで顧客が肌やライフスタイルに関する情報を入力すると、その人に必要な成分が入った製品を作ることができるというサービスだ。
起業前は、IBM、Oracleなどのテック企業に勤務し、仕事と2人の子育てで肌の手入れもままならず、アレルギーで肌荒れに。それぞれの人に合う原料は違うのではないかと「肌をデコード(解読)」して生まれたのが、カスタマイズスキンケアという構想だ。
彼女は「当時最大のスキンケア市場だった」日本を訪問し、プロプライエタリ技術を持つラボとの契約に至る。自己資金100万ドルで起業したものの、最初の5年は全く見通しが立たなかった。幾度となく絶望を感じながら、「それでも諦めきれない」という状態が続く。転機がやってきたのは2013年ごろだ。カスタマイズスキンケアという考え方が市場に理解されるようになり、Sephoraと契約する。そこから一気に道が拓けた。
現在、Skinの製品は200店以上のSephoraで販売されており、コンセプトストアも展開する。年商は数千万ドルレベルに達した。スキンケアに加えて、LEDクロモセラピーデバイスなどの機器も手がける。強みはデータだ。“ビューティ業界の崩壊者”と自分たちを位置づけている。
カスタマイズ化粧品のSkinを創業したSabrina Tan