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2019.09.06

テスラが自動車保険に参入 業界に与える影響は

Hadrian / Shutterstock.com


・テスラは、保険料計算の目的で車載カメラやシステムから収集した情報を利用することはないと表明しているが、これは保険事故調査に役立つ可能性もある。

・テスラの主張通り、同車の車が安全対策とシンプルな機械構造により他メーカー車よりも事故率が低いのであれば(これには一部反論もある)、テスラの保険は従来の自動車保険よりも収益性が高くなるのに加え、同社は事故発生率の低さを実証する統計をようやく得られることになる。

・テスラ車の安全性がトップレベルにあるのであれば、同車による交通事故が深刻な損害を生む可能性は下がり、テスラはより収益性の高い保険商品を提供できる。

・テスラの所有者は高学歴で年齢の高い富裕層が多いため、保険金詐欺の可能性が減り、この点も保険料の低減につながる。

・既存のロードアシスタンスサービスや、テスラ車のアルミボディを修理する契約工場の存在により、自社サービスの構造に保険の仕組みを採り入れることが容易になる可能性がある。

・顧客忠誠度の高さと、ディーラー経由でなく直販チャネルを通じたユーザーへのコンタクトのしやすさ、さらにはオールインワンのソリューション提供による影響も考慮すべきだ。これらの要素は保険料の高さを正当化する理由とはなり得ないが、魅力的な価格で保険を提供できるならばテスラ車オーナーの間にまたたく間に広がるだろう。

・保険などのサービス業への参入により、テスラはビジネスを多様化させ、収益を拡大できる可能性がある。ただしそれには、請求件数が適度に少ない状態を維持し、同社の財源を圧迫しない状況になる必要がある。

もしもテスラが、自動車保険業界という競争の激しい市場において高価値の魅力的な商品を提供でき、さらにカリフォルニア州以外の国内や海外へも展開できたなら、この戦略的垂直統合の動きは大きな結果につながる可能性がある。2015年から2019年第2四半期までのテスラは61万台余りの車を販売してきており、最近では四半期毎に10万台近くを販売している。

テスラの保険業界参入は、ゲームチェンジャーとなるだろうか?

編集=遠藤宗生

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