イーロン・マスクが初めて自動車保険に言及したのは、今年4月のことだった。テスラのツイートに対しては、テスラ所有者が現在加入している保険よりも高い保険料が提示されたといった声が多く寄せられており、実施に当たっての問題があったか、あるいはテスラが計算方法を誤った可能性がある。だがそれはさておき、保険業界はテスラの参入を恐れるべきなのだろうか?
自動車保険会社には、保険金を支払うための資金はもちろん、カスタマーサービス、ロードアシスタンス、修理工場のネットワークを用意する必要があり、テスラは既にこうしたサービスの大半を購入者に対し提供している。従来型自動車保険のバリューチェーン内にいる企業の役割は、情報収集と第三者としてのサービス提供である一方、テスラのこのチェーンへの参入と関与はそれよりも非常に大きなものになる可能性が高い(あるいは既にそうなっている)。
テスラのような自動車メーカーによる自動車保険ビジネス参入を分析する場合、どのような点を考慮すべきだろうか?
・第一に、テスラは自社の車に関する知識と、同車の最新テクノロジー、安全性、低いメンテナンスの必要性により、保険料を低減できる可能性がある。
・さらに考慮すべきなのは、現時点で保険の提供対象となっているのが類似の4モデルのみに限られていることだ。これは、テスラが通常監督している修理の一部にスケールメリットが存在することを示唆している。これはテスラにとって有利に働く可能性もあるが、一方で別の保険会社と契約する必要が出てくる非対象モデルのオーナーにとっては問題となるかもしれない。
・ルーフに設置された非常ボタンに加え、リモート診断、さらにはバッテリーパックの切り離しといった特定のアクションを可能とするロケーション接続機能など、他との差別化を図れる特徴も考慮すべき点だ。