本アワードは2017年に始まり、今年で3度目。地方自治体職員の他薦をもとに、現役の自治体職員が審査を行い、8月19日〜22日、全国から選ばれた13人の“すごい!地方公務員”が発表された。11月に表彰式が行われる予定だ。
3度目の開催となる今回は、合計13人の地方公務員が選出された。受賞者を都道府県別で見ると、最も多いのは兵庫県から断トツの4名、次いで岐阜県から2名、そして、茨城県、埼玉県、神奈川県、大阪府、福井県、徳島県、広島県から各1名が選ばれた。
今回のアワードも、電通やPR TIMES、LIFULL、NECソリューションイノベータなどの大手企業が協賛。後援には日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が名乗りをあげるなど、例年にも増して注目度は高い。志の高い公務員と企業が、さらに距離を縮められるようにと、協賛各社が特別協賛社賞を贈呈しているのも本アワードの特徴だ。
「前例踏襲」の組織文化を打ち破れるか
インターネットの検索窓に「前例踏襲」と入力すると、予測変換で出てくるのが「前例踏襲 公務員」というワードだ。このことだけを見ても、公務員には前例踏襲というイメージが貼りつき、行政組織の中で新しいことを行うことが如何に難しいかがおわかりいただけるだろう。
そんな固着化した環境などものともせずに、高い成果を上げている公務員は全国に存在する。その代表として、今回のアワードの受賞者を何人か紹介したい。
特別協賛社賞である「ジチタイワークス賞」とのW受賞を果たした、兵庫県福崎町役場に所属する小川知男の活躍は、とてもユニークだ。当時の町長から、「1日に10人ほどしか訪れない辻川山公園に観光客を呼べ」と命じられた小川は、独自の施策でそれを成功させた。
各地方自治体がいわゆる「ゆるキャラ」ブームの真っただ中にありながら、安易にそれに追随することなく、小川は、公園内の池に「めちゃくちゃ気持ちの悪い河童の像」をつくる。役場の上層部は「税金を無駄に使うな!」と怒り心頭だったが、「絶対に人が来るようになるから心配いりません」と譲ることはなかった。そして、実際にその像は人気のスポットとなる。
妖怪を配置し唯一無二の公園を創った小川知男さん
その後、河童を見に来た人のお土産として、プラモデルを制作して販売。発売5日で売り切れ、アマゾンのベストセラー第1位を獲得した。また模型店サイトのランキングでも数週間連続第1位に輝いたというから、その人気ぶりには驚かされる。コンサルに任せず、自らの責任と覚悟でもって、めざましい成果を残した小川の功績は大きい。