F1元王者のアロンソ、トヨタ ハイラックスで世界一過酷ラリーに挑戦

元F1王者 フェルナンド・アロンソ選手

2009年にトヨタがF1を撤退した時に、世界のモータースポーツファンが悲鳴をあげた。

「それだけの莫大な開発費を費やしたのに、たいした成績は出なかった。残念だ」と多くの人が喚いた。

しかし、F1で苦い想いをしたトヨタは焦点を変えた。

当時から自らニュルブルクリンク24時間レースなどに参戦していた豊田章男社長は、「モータースポーツは未来のクルマ作りに重要な役割を果たすので、世界一流のレースシリーズに参戦すべきだ」と言い続けてきた。そのシリーズとは、ワールド・エンデュランス選手権(WEC)と、ワールド・ラリー選手権(WRC)、そして世界一過酷なダカール・ラリーのことだ。



トヨタは2012年にWECにフル参戦を開始し、数年は苦戦したものの、2018年には同選手権の頂点「ルマン24時間」で、元F1王者のフェルナンド・アロンソ選手が連勝することができた。また、WRCには、2017年に17年ぶりにカムバックし、2戦目でいきなり優勝を飾っている。

ここで今回の記事のテーマに入ろう。今年1月のダカール・ラリーに優勝したトヨタ・ハイラックスに、来年、アロンソが参戦することになった。

この世界のトップシリーズで優勝することは非常に難しいことだけど、トヨタは独自の信頼抜群の技術とノーハウを活かし、アロンソのような一流のドライバーを起用。欧州現地のトップチームと上手くコラボすることで、その経験と知恵を上手に活かし、挑戦している。だから、F1では難しかった表彰台も狙える。大事なのは、自分の強みを発揮できる場に立つこと。これは人生でもスポーツでも共通だ。

アロンソのように、F1からWEC、そしてWECからラリーという違うジャンルのモータースポーツに転向する選手はかなり珍しい。正直なところ、アロンソは、いわゆる「トリプル・クラウン」を獲得したがっている。「トリプル・クラウン」とは、F1のモナコGP、ルマン24時間、インディ500で優勝を飾る快挙だ。
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文=ピーター・ライオン

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