代替肉人気で中国市場は「不要」に? 米国の大豆農家に新たな機会

(Matt Cardy/by Getty Images)

これは統計データを見た上での筆者の私見だが、米国の農家は中国に対し、「勝手にしろ」と言ってやってもいいのではないのだろうか?

米国内で生まれた農家にとっての大きなチャンスが、急激に拡大している。農家はハンバーガーが好きだというだけの理由で、この機会を逃すべきではない。

KFC(ケンタッキーフライドチキン)は先ごろ、ジョージア州アトランタの1店舗で植物由来の代替肉を製造・販売するビヨンド・ミートがつくった「チキン」の新メニューを販売。その店舗には、周囲を取り囲む長蛇の列ができた。これまでKFCの店に、このような現象が起きたことはあっただろうか?

業界団体「Plant Based Foods Association(PBFA、植物由来食品協会)」によると、米国では植物由来の食品の売上高が、今年4月下旬までの約1年間に前年比で11%増加。市場規模は45億ドル(約4770億円)となった。食品小売市場の全体の成長率はこの間、2%だった。

米国市場における植物由来の食品の売上高は、2017年4月からの3年間では31%増加。市場は成長している。この市場が一夜にして中国市場に取って代わることはないだろうが、中国は国内市場向けの大豆の生産を増やしており、いずれにしても今後、米国からの輸入は減らすことになるとみられる。

さらに、中国は現在、米国の共和党寄りの各州に「貿易に関しては民主党政権の方がいい」と思わせることを狙い、実質的に輸入をストップしている。貿易戦争が本格化した昨夏まで、米国は世界最大の大豆輸出国だった(現在の1位は、それまで2位だったブラジル)。また、米国の大豆の輸出先は、少なくとも60%を中国が占めていた。

米国の農家が大豆の生産量を減らすか、動物性タンパク質の代替として消費することができるその他の作物の栽培に切り替えるのは、賢明なことだろう。大豆は供給過剰とドル高によってここ数年、1ブッシェル当たりの価格が10ドルを下回る状態が続いていた。
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編集=木内涼子

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