資格過剰の求職者は敬遠されがち 仕事を得るにはどうすれば?

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米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は先日、特定の仕事に必要なレベルを超える能力や経験、学歴を持つ資格過剰な求職者が直面する厳しい課題を明らかにした。

同記事は、カーネギーメロン大学やスタンフォード大学、ジョンズホプキンズ大学の大学教授らが実施した調査に基づいたものだ。同研究では「能力が高い候補者は、能力は劣るが十分な候補者に対し組織への献身度が低いと管理職に認識されており、結果として採用プロセスの中で能力が高い候補者は減点されてしまう」と述べている。

資格過剰な候補者を取り巻く現実は、ここで説明されているよりさらに劣悪だ。採用中の仕事をはるかに超える経験レベルの人材の履歴書が提出されると、人材を必要としている管理職や人事担当者は、なぜこの人がこの仕事を求めているのか、この人物の何が問題なのかと尋ねるだろう。

ここには、潜在的な偏見がある。管理職らは、なぜこれほど高い成功・地位・報酬を手に入れた人物が一歩後退することを希望しているのかと非常に不審に思う。相手に何か問題があるのだろうと確信し、大失敗をしたのではないか、これ以上出世できないレベルに到達したのではないか、あるいは漫然と仕事をしたいだけなのではないかと思ってしまう。

また、権威あるエリート大学出身で一流企業に勤めた経歴を持つ資格過剰な候補者は嫌がられることもある。管理職など採用関係者はこうした資格が悪影響をもたらすと考え、このようなタイプの候補者はうぬぼれていて傲慢で、一緒に仕事がしにくいと何も明白な証拠がないまま思い込む。採用関係者らはちっぽけなねたみを持ち、今まで順風満帆な人生を送ってきたと考える候補者の入社を拒否することに屈折した喜びを感じる。

面接官の不安も影響

人材採用時、関係者は企業の最善の利益を念頭に置いていると信じたいものだが、現実として採用側が気に掛けているのは自分自身のキャリアだ。人材を採用する管理職が30代半ばで、求職者が45歳以上だった場合を考えよう。管理職は、自分より年配で経験豊富な候補者が全ての関心を集めるのではないかと当然感じるはずだ。管理職は、自分が外側に追いやられるのではないかと懸念を持つだろう。

また、経験と報酬の間には直接的な相関関係がある。経験があまりに豊富な候補者は、自分は少なめの報酬でも構わないと言うかもしれない。しかし、この態度がすぐに変化するのではないかという懸念がある。仕事に深く入り込み、重要な職責を引き受け、会社にとってなくてはならない人物になった後で、影響力を得たこの人物はより高い報酬と地位を求めるようになるかもしれないと恐れられているのだ。

難しい立場に置かれた管理職は、その要求に仕方なく従うか、今では重要な社員となったその人物が退社するリスクを冒すかの選択を迫られるかもしれない。昇給や昇進が与えられれば、グループの他のメンバーはその人にだまされた、裏切られたと感じるだろう。
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翻訳・編集=出田静

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