ビジネス

2019.09.09

ヒットの落とし穴を超えて。成熟企業の脱皮に挑むオルビス「3つの視点」

オルビス株式会社代表取締役社長 小林琢磨氏


イノベーターとして体験価値を提供

これからは徹底して「パーソナライズ」と「グローバル」にフォーカスしていくというオルビス。4月には、ORBISアプリ内でパーソナルカラー・フェイスプロポーション診断ができるサービス「パーソナルAIメイクアドバイザー」をリリースし、2020年春にはコンセプトショップを開設予定など、積極的に新機軸を打ち出そうとしている。

パーソナライズ、グローバル……いずれもOMO(Online Merges with Offline)時代に多くのD2C(Direct to Consumer)、ブランドが志向する領域ではあるが、そこにオルビスがそもそも持つ、イノベーターとしてのDNAが試されると小林氏は語る。



「いまでこそD2Cと呼ぶビジネスモデルが取りざたされていますが、オルビスは84年に通販事業をメインに立ち上げ、99年にEコマースをはじめ、2000年に実店舗運営をはじめた。ある意味、D2Cの先駆けと言えるのです。一時はデータ重視の部分最適に陥り、通販と実店舗、それぞれ異なる戦略を取ってしまった時代もあった。

けれども、いまやお客様の購買行動はオンラインとオフラインがシームレスに融合している。先日、ツイッターでこんなつぶやきを見つけて、とても嬉しくなりました。『オルビスのサンプルを試してみたらとても良かったので、はじめて店舗に行ってみた。とても心地よい対応で、絶対使い続けようと思う。たった15分くらいの接客がどれほど大切か』と。

テクノロジーが進化し、オンラインで個人に最適化されるからこそ、リアルなもの、タンジブル(触れられるよう)なものの価値は増す。そこに我々が貫いてきたことを体験価値として提供できるのではないかと考えています」


小林琢磨(こばやし・たくま)◎1977年生まれ。2002年(株)ポーラへ入社、2010年にグループの社内ベンチャーとして立ち上げた(株)DECENCIA社長へ就任。2017年オルビス(株)のマーケティング担当取締役、2018年に代表取締役社長に就任。同年、新生オルビスのビジョンを掲げ、「ORBIS U(オルビス ユー)」をリニューアル。翌年1月には、「飲む」次世代スキンケア「ORBIS DEFENCERA(ディフェンセラ)」を発売。2029年への長期目標を見据え、「ここちよくいることで生まれる美しさ」という本質的な体験価値を模索しつづける。ポーラ・オルビスホールディングス上席執行役員を兼務。早稲田大学大学院MBA。

取材・文=大矢幸世+YOSCA 企画・編集=FIREBUG 写真=栗原洋平

ForbesBrandVoice

人気記事