挑戦する人と挑戦する企業をつなぐ、Forbes JAPAN 初の採用ブランディング

Yahoo!グループの傘下に入って以降の3年間、一休はこれまで描いてきた成長曲線の“倍”を実現している。この立役者の一人は、宿泊事業を率いてきた栗山悟に他ならない。2016年4月、榊(現:代表取締役社長)から引き継ぐ形で、執行役員 宿泊事業本部長に就任。入社から1年、リーダーに昇格してからわずか3か月での、異例の人事だった。

想像もしていなかった辞令に即答したものの、本人曰く、「首の皮一枚、つながって...... いや、いなかった」という試練の日々が訪れる。

ただ、結果的に一休は史上類を見ない非連続の成長を成し遂げることができているわけだ。なぜか。話を聞き進めると、どんな試練にも正面から向き合い、戦いの場に立ち続けてきた栗山の姿が見えてきた。

前任者の影を追いかけすぎた事業責任者1年目

当時の宿泊事業は緩やかに成長はしていたものの、狙った成長は実現できず、社内ではむしろ、「成熟している事業」と評されていた。そんな事業をいかに伸ばしていくか、そして榊というスターの後任という、二重のプレッシャーに栗山は苦しんだ。

「圧倒的な存在感を誇った榊の後任ということで、自分で勝手にプレッシャーを倍増させていたような気がします。メンバーは皆、大人で協力体制はあるのに、どこか抱え込みすぎていたのかもしれません」。

まずは守破離の『守』だと、榊の取り組みを徹底的に踏襲した。目標には届かない。

目まいはひどく、視界は常にぼやける。突発的な偏頭痛で眠れぬ日々もあった、顔色が悪すぎて周囲に常に心配されていた。仕事の悩みは、栗山の身体に明らかな異常をきたしていた。

就任から半年、未達の状態は続き、打開の糸口は見えなかった。栗山の状態は日に日に悪化、周りは心配な気持ちでいっぱいだった。そこでメンバーたちは、『栗山に物申す会』を開くという決断を下す。

栗山もメンバーに気遣われていることはわかっていた、ただ、それを素直に受け止める余裕がなかった。しかし、今変わらなければ、もう後がないと思った。

「今日は覚悟して、すべて受け止める」。

当時のメンバーは8名。一人ずつに率直なダメ出しを求めた。共通して出てきたのは、「榊さんを目指さないで欲しい」、「栗山さんらしさで引っ張るべきだ」「もっと任せて欲しい」という、想像以上に暖かい言葉だった。

「絶対にやってはいけないと思っていたのに。目指せるわけないのに、榊の真似事ばかりしていたんです。全てを掌握することなんできるはずもないのに、全部自分でやろうと。僕はもう、何をやっていたんだと」。



2年目。Yahoo!との事業シナジーに活路を見出す

転機が訪れたのは、就任1年目の終わり。Yahoo!との事業シナジーを狙い、本格的に連携をはじめたタイミングだった。もともと一休の成長戦略は、新規ユーザー獲得ではなく、リピーターの取引額を成長させることにあるが、Yahoo!からの流入ユーザーが一休のサービスにヒット。新規ユーザーが大きく増えた。

「一休のサービスは使ってもらえれば、その良さは分かってもらえるし、必ずリピーターになってもらえる。Yahoo!からの新規ユーザーをリピーターにしていくための戦略を強く踏みました」。

新規ユーザーを獲得しリピーターにする。一休の王道とも言える戦略はピタリとハマり、成長にドライブがかかっていった。

「これはまぐれのようなものです」と栗山は謙遜する。そこから宿泊事業トップとして、さらに攻勢を強めていく。

Yahoo!から20名の営業が合流したタイミングで、一休×Yahoo!の融合を狙い、部署を組成。一休とYahoo!トラベルというふたつのブランドを販売するという体制を築いたのだ。

1泊10万円を超えるようなラグジュアリーホテルを顧客群に持つ一休、出張や普段使いに最適なカジュアルなホテルを顧客群に持つYahoo!トラベル。毛色が全く異なる。とはいえ、営業スタイルにも営業メンバーの年齢にも違いがある両社。栗山は慎重にチーム組成していった。

「何もかもが真逆の文化。だから同じ部ではあるけれども、敢えて混ぜないという決断をしました。部門編成も、営業1部はYahoo!トラベルのメンバー、営業2部は一休の社員という分け方にして、これまで通りと変わらない形で日々の営業活動を進めました」。

しかし、この方針は上手くはいかなかった。混ざらなかったがゆえ、これまで売っていたものしか売らない、売れない状態が続いたからだ。

自身の言動、行動を変え、組織を変えた。最高の結果が待っていた

『一休+Yahoo!で日本一になる』を掲げる以上、組織もミックスしなければ、成果は最大化できない。ラグジュアリーなホテル・旅館だけは一休社員が担当したが、それ以外は出自関係なくエリア制とするという、組織変更を決めた。つまり自身が立てた営業戦略を自身で否定し、真逆に変えたのだ。

そして、「すごく小さな話のようで、すごく大事なこと」と言って明かしてくれたのは、当時の部内のコミュニケーション。「お世話になっています」という、よそよそしい言葉ではなく、「お疲れさまです」、『一休さん』『ヤフーさん』という『さん付け』を禁止。他人同士のようなよそよそしい言葉遣いはやめ、一体感の醸成を目指したのだ。栗山は自身が率先して、仲間としての語りかけを心がけた。



結果、事業は面白いほどに伸びた。もちろん現場のメンバーたちの功績によるものだが、栗山自身の変化も大きく関係している。栗山の背中を見て、一休社員たちも変わっていったのだ。一休もYahoo!トラベルも関係なく、全員が事業を伸ばそうという姿勢になった。

売上が上がるほど、モチベーションが上がる。そして今や、元々どこの出身であったかを気にする者などいなくなった。

この結果から栗山が得た確証。「いい組織は、組織づくりによってできるものではないですね。事業づくりの成果が出れば、自ずといい組織はついてきます」。

次はレストラン事業。やるべきことは強いファンづくり

この成功体験を携えて、2019年、栗山はレストラン事業のトップへ就任。成長産業であるレストラン領域での手腕に、大きな期待がかかる。

宿泊事業に関して、「守破離の『離』に、もう少しで手が届きそうだったし、もう少し宿泊事業のメンバーと一緒に挑戦してみたかった。でも、レストラン事業は楽しみですよ」と目を強く見開いて言った。

レストラン事業は宿泊事業と比較すると、一休ブランドの確立はまだこれから。「ユーザーにとっての選択肢を増やす」という、巻幡(前 レストラン事業本部長/現 宿泊事業本部長)が取り組んできた戦略を受け、レストラン事業部の成長は次のフェーズに入った。

「素敵なレストランが探せて、簡単に、そしておトクに予約できる。シンプルですがこれが目指す世界、これこそがユーザーにとっての最大の価値です。

顧客インタビューを実施しても、宿泊予約サービスに対するユーザー満足度が高いのに対して、レストラン予約サービスに対してはまだまだ。しかしそれは、一休レストランへの期待の表れなんです」と栗山は言う。

「ユーザーに最高のサービスをつくるには派手なことよりも、毎日の筋トレのように日々ユーザーの要望を改善していくことだと思っています。日々のトレーニングを惜しまず、筋肉質な組織で僕たちが創りたい世界を目指しますよ」

レストランのネット予約市場はまだまだ数%の市場規模。宿泊予約サービスと違って、レストラン予約サービスはまだまだ未成熟な市場と言えるだろう。

しかし数年後にはインターネットでレストランを予約するのが当たり前になっている時代が来るかもしれない。これから市場を創っていくフェーズ。簡単ではない話をしているはずの栗山の顔は、笑顔だった。

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