ビジネス

2019.09.05

ワッパー級の復活を遂げたバーガーキングの「事業再建レシピ」

ダニエル・シュワルツ(左)とホセ・シル(右)


シュワルツは29歳にしてバーガーキングの最高財務責任者となると、会社所有のジェット機を売却し、従業員には、国際電話はスカイプの無料通話を利用するよう指示した。また、事業全体の感触をつかむため、時折マイアミの店舗でシフト勤務に入り、トイレの清掃やハンバーガーの調理、ドライブスルーの接客も経験した。

2012年、3Gキャピタルはバーガーキングを再上場させ、13年7月にはシュワルツがCEOに就任。1年半後、バーガーキングの株価は2倍に上昇し、一方でマクドナルドの株価は8%下落した。

ウォーレン・バフェットもレストラン・ブランズのファンで、株式の購入を通じて同社に30億ドルを出資し、ティムホートンズの買収資金の調達に一役買った。ビル・アックマンも同じくファンで、経営するヘッジファンドのパーシング・スクエアがレストラン・ブランズの株式の5%を保有する。3Gキャピタルの保有分は41%だ。

レストラン・ブランズの2番目の大株主は従業員で、保有率は5%を超える。ボーナスを自社株に投資する従業員のためのマッチング拠出プログラムのおかげで、300人いる中間管理職(平均年齢37歳)のほぼ全員が自社株を所有している。少なくとも100人がミリオネアになっているという。シュワルツ自身も、1億ドル相当の自社株と自社株購入権を保有している。

先ごろ、シュワルツは経営執行役会長に昇進し、長年、バーガーキングで要職を務めてきたホセ・シル(49)がレストラン・ブランズのCEOに就任した。「私たちは人に懸けるんです」とシルは言う。 「野心的で、誰よりも一生懸命に働く意欲があり、給料以上の理由がその原動力となっている人間は、何かしら大きな仕事をしたいものです」


DANIEL SCHWARTZ(ダニエル・シュワルツ)◎レストラン・ブランズ・インターナショナル経営執行役会長。米コーネル大学卒業後、2005年に3Gキャピタル入社。13年にバーガーキングCEO就任。

JOSE CIL(ホセ・シル)◎バーガーキングで数々の要職を歴任し、2019年1月にシュワルツの後を継ぎ、レストラン・ブランズ・インターナショナルCEOに就任。

文=クロエ・ソルヴィーノ 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=木村理恵

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