中国のビリオネア兄弟、Ding ShizhongとDing Shijiaらが運営するアンタスポーツの2019年上期の売上は、前年比40%増の148億元(約2190億円)に達し、純利益は28%増の25億元となった。同社の株価は8月29日に、史上最高値の65.30香港ドルを記録した。アンタの株価は8月23日からの1週間で、4.7%の上昇となった。
アンタ株は昨年10月に約30香港ドルだったが、1年足らずで2倍以上の値上がりになった。
アンタは「フィラ(FILA)」などのブランドの中国での販売権も保有している。フィラの中国での売上は前年比で80%上昇し、68億元に成長。同社の上期の売上の44%を占めている。
株価の上昇の背景には、2020年の東京五輪を前に、スポーツ関連ブランドへの期待が高まっていることもあげられる。さらに、同社はフィンランドの「アメアスポーツ」を52億ドルで買収する動きを進めている。アメアスポーツは、テニスラケットの「ウイルソン」やハイキングシューズ「サロモン」などを保有しており、アンタは同社を傘下に収めることでグローバル進出を拡大させる。
アンタの株価の上昇は、ヨガウェア・ファッションブランドの「Lululemon(ルルレモン)」創業者の米国のビリオネア、チップ・ウィルソンにも恩恵をもたらした。ウィルソンは今年5月、アンタに7億7800万香港ドルを出資しており、既に32%の含み益を得たことになる。アンタにはテンセントやFountainVest Partnersらも出資を行っている。
時価総額が230億ドルに達したアンタだが、この分野のトップ企業であるナイキの1320億ドルとの差は大きい。しかし、ナイキの株価は昨年、わずか3%の上昇だった。ルルレモンの時価総額も約240億ドルだが、同社の株価もここ1年で約15%の上昇となっている。