このマシンは、1909年のブガッティ創業から110周年を祝う思いを込めつつ、1990年代にイタリア人実業家ロマーノ・アルティオリが再建したブガッティによるスーパーカー、EB110へのオマージュを散りばめて仕上げられた。
ルーツへのオマージュ
現在のブガッティ・オトモビルはフォルクスワーゲンが商標権を取得して設立した企業で、154台のEB110を生産したブガッティ・アウトモビリSpAとは直接のつながりはない。
それでも、EBを模ったエンブレムや、ミッドシップレイアウトエンジンに4基のターボ、4WDといったEB110の特徴的レイアウトをヴェイロン、シロンに受け継ぐなど、現在のブガッティはアルティオリ時代の影響を強く受けている。
チェントディエチの発表においても、ブガッティの名を再び世に轟かせたEB110が「1998年にブランド生誕の地フランス・アルザスへの復帰を果たすための重要な足がかりになった」と敬意を表した。
ノスタルジーと最先端
そのシルエットからシロンをベースとしていることが明らかなチェントディエチだが、フロントまわりはEB110のウェッジシェイプに近づけるべくスラントノーズ化されている。そして控えめなサイズの蹄鉄型グリルやフロントおよびサイドのエアインテーク、そしてテールまわりの意匠も、偉大な先祖たるEB110から受け継いだものになっている。
とはいえ、ただノスタルジーにどっぷり浸るだけではない。たとえば歌舞伎役者の隈取のように切れ長なLEDヘッドランプなどはフロントマスクを引き締め、このマシンに時代の最先端というイメージをも付加している。
ブガッティは自動車界のビッグネームだが、とても小さなメーカーだ。だがそれが非常に高性能なマシンを限られた台数だけ生産するには丁度良いのだと、デザインディレクターのアキム・アンシャイトは述べ、チェントディエチの開発はわずか6か月前にスタートしたのだと明かす。