香港デモで利用者急増の通信アプリ「Bridgefy」を生んだ米国企業

香港・シャムスイポー(深水埗)での抗議の様子(8月29日)(Photo by Billy H.C. Kwok/Getty Images)

普通選挙の実現などを求めて抗議活動が続く香港で、利用者が急増中のメッセージアプリが「Bridgefy」だ。サンフランシスコのスタートアップ企業が開発したこのアプリは、ブルートゥースを基盤としたピア・トゥ・ピア通信を行うため、政府のインターネット監視を避けられる。

アプリ調査企業Apptopiaのデータで、Bridgefyのダウンロード件数は過去60日間で4000%近い上昇となっている。Bridgefyはブルートゥースで構築されたメッシュネットワークにより、都市全体の利用者をつなぐことが可能だ。100メートル以内の相手とは迅速にチャットが行えるし、それよりも遠くに居る相手とは、ネットワークに接続された端末をまたぐ形で通信が行える。

Bridgefyでは特定の相手とのプライベートな会話が可能なほか、相手を指定せずに、一定の距離内に居る人すべてにメッセージを届けることもできる。

Bridgefyは中国政府の監視を避けながら、コミュニケーションをとりたいデモの参加者にとって、理想的なツールといえる。筆者はBridgefyの共同創業者でCEOのJorge Riosにインタビューを行った。

──このアプリを発案したきっかけは?

インターネットに接続できない環境下でも、ブルートゥース接続で会話を可能にする通信アプリとしてBridgefyを開発した。このアプリはコンサートや大規模なスポーツイベントの参加者に愛用されてきたが、ここ最近は香港でのダウンロード数が急激に増えている。

──香港のデモの参加者がこのアプリを選んでいる理由は?

背景には2つの要因がある。まず1つ目は、政府がインターネットへのアクセスに制限をかけ始めていること。2つ目は、Bridgefyを使えば会話の内容を第三者に読み取られるリスクを下げられることがあげられる。

Bridgefyのダウンロード数は、過去1週間で6万件以上に及んでいるが、その大半が香港からのものだ。利用者はインターネット回線に依存せずに、組織をオーガナイズし、通信の秘密を守るためにこのアプリを利用している。

──他の利用ケースとしてあげられるのは?

ハリケーンや地震の発生時にも、Bridgefyは有用なコミュニケーション手段になる。このアプリのSDKは外部の開発者にも公開されており、オフライン通信機能を他社のアプリに組み込むことも可能だ。ライセンス費用はユーザー数に応じて変動する仕組みになっている。将来的には他社の有名アプリに、当社の技術が採用されることも考えられる。

編集=上田裕資

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