ビジネス

2019.09.04 07:00

「スマホ人口8億人超え」のインドで復活狙う、HTCの野望


昨年は社員の5分の1をリストラしたことに加え、スマホ設計部門をグーグルに売却して2000人のエンジニアが同社を去った。しかし、2017年の純損失は169億台湾ドルと3期連続の赤字を記録したが、今年2Qの売上総利益率は20.3%と、1Qの14.7%から大きく改善している。

インド商工会議所連合会とPwCの共同調査によると、インドのスマホユーザー数は2022年までに8億5900万人に達すると見込まれている。これは、中国に次ぐ世界2位の規模だ。HTCは、過去20年以上に渡って販売価格500ドル以下のスマホに特化しており、ローエンド製品が主流を占めるインド市場において有利だと言える。

「インドの消費者は、ローエンドとミドルエンドの端末のほかに、アップルやサムスンの高価なフラッグシップモデルの代替となると製品を求めている」とKaurは話す。また、インドではEコマースが広く普及しており、HTCは以前のようにオフラインの販売に頼らなくて済むとKaurは指摘する。「インドでは強力なECプラットフォームが台頭し、中国のアンドロイドメーカーなどもEコマースで大きな成果を挙げている」とKaurは話す。

HTCは、インドのEC最大手「フリップカート」と組むことで認知度を急速に高め、数百万人もの消費者にスマホを販売したいと考えている。「インドは、ここ数年でスマホのオンライン流通が急速に発展し、現在では世界トップ3に入る」とMawstonは話す。

HTCは、13.4億人規模のインド市場をどのように攻略するか明らかにしていない。台北に本拠を置くMarket IntelligenceのEddie Hanは、InOne Smart Technologyとのライセンス契約が大きなウェイトを占めると予想する。

「HTCはライセンス供与によってインドに再参入し、主にエントリーレベルの市場をターゲットにしている」とHanは話す。Mawstonは、競合他社と差別化を図るために、際立った特徴を持った端末を提供することが必要だと指摘する。インドでは2021年に5Gの運用が始まる予定で、5G対応スマホのリリースは有効な策かもしれない。

「インドのスマホ市場は巨大で急成長を続けている。この市場で成功すれば、HTCにとってゲームの流れを一気に変える収益を上げることが可能だ」と彼は話す。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事