グーグル、Pixelの製造をベトナムに移設し「対中関税」回避へ

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米中の貿易摩擦の高まりにより、ベトナムの製造業が恩恵を受けることが確実になった。グーグルはこれまで中国でスマートフォン「Pixel」の製造を行ってきたが、それをベトナムに移そうとしている。

8月28日にNikkei Asian Reviewが掲載した記事によると、グーグルは今夏から製造委託先と共同で、ベトナムのバクニン省の旧ノキアの工場に、Pixelの製造拠点を移す動きを進めてきたという。

ベトナムの首都ハノイから約30マイルの距離にあるバクニンは、中国の国境からも約80マイルの距離に位置している。サムスンも約10年前からバクニンに、スマホの製造拠点を置いてきた。

Nikkei Asian Reviewによると、グーグルは初期段階でPixelのエントリーモデルのPixel 3Aの製造を、年内に中国からベトナムに移し、昨年の2倍にあたる800万台から1000万台を現地で生産するという。

調査企業IDCによると、昨年のグーグルのスマホの出荷台数はわずか470万台で、世界の出荷台数に占める割合は0.3%だった。しかし、2019年上半期の出荷台数は既に410万台に達しているという。好調の背景には、今年に入り399ドルで発売した廉価版モデルPixel 3Aの好調ぶりがあるという。

グーグルは今後、スマホに限らず米国で販売する全てのハードウェア製品の製造を、中国から移転させ、ベトナムやタイで実施したい意向であるとNikkei Asian Reviewは伝えた。ただし、グーグルの新たな製品開発拠点や初期の製造拠点は、今後も中国に置かれることになるという。

米国の対中関税の引き上げを前に、ハードウェアメーカーの間では製造拠点を中国から移す動きが広がっており、グーグルの決定も驚くべきことではない。アップルも今年6月時点で、全体の15%〜30%のiPhoneの製造をベトナムやインドに移すと報道されていた。

さらに、先月はHPやデルがパソコンの製造の30%を中国外に移すと報じられ、マイクロソフトや任天堂、ソニーやアマゾンも一部のハードウェア製造を中国から移転すると伝えられていた。

編集=上田裕資

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