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2019.09.03

国内最大級のCVCが目論む 街づくりを通じた「新産業創出」とは

三井不動産ベンチャー共創事業部は、菅原晶部長(写真中央)をはじめ12名で「31VENTURES」「BASE Q」によるスタートアップ企業と大企業をつなぐ新プラットフォームを運営している。


そのほかにも、北米、東南アジア、欧州、日本など外部ベンチャーキャピタル8社へのLP出資を通して、世界のスタートアップの動向を幅広く把握し、革新的事業への挑戦を行っていく。

三井不動産のベンチャー共創事業部は2015年4月に創設し、現在12名が在籍する部署だ。オープンイノベーションを本格化すべく、スタートアップ企業が集う「31VENTURES」と大企業が集う「BASE Q」によりスタートアップと大企業をつなぐ新たなプラットフォームを運営。三井不動産が現在、長期経営方針として掲げる3つのステートメントのうち、「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」「テクノロジーを活用し、不動産事業そのものをイノベーション」を担う。

その中でも、「31VENTURES」の特徴は、「コミュニティ」「資金」「支援」の3つの柱でスタートアップ企業の成長加速をサポートしている点だ。菅原いわく、「スタートアップのすべてのニーズを満たす『フルカバレッジ』『ワンストップ』の共創コミュニティ」。例えば、コワーキング施設やイベントやプログラムを展開し、専門性の高い外部パートナーとともに行うハンズオン支援が可能な「31VENTURESクラブ」の運営。アジアにおけるイノベーションを目的にアジア15カ国の国と地域から起業家が集うビジネスコンテスト「アジア・アントレプレナーシップ・アワード」を共催し、海外有望スタートアップとのネットワーク構築などがあげられる。

「19年2月には、柏市、柏の葉アーバンデザインセンターとともに、社会課題の解決や新産業創造を目指す公・民・学連携による実証プラットフォーム『イノベーションフィールド柏の葉』を始動。AIやIoTおよびライフサイエンス、メディカル分野の支援も新たに行う。今後も、スタートアップ企業の支援、そして我々のオープンイノベーションをはじめ、大企業をつなぐことで、目標である『新産業創出』を実現していければと思います」(菅原)


三井不動産:2018年5月、グローバル・ブレインと共同でグロース期のスタートアップ企業に総額300億円の投資事業を開始。15年末にも、50億円のCVCファンドを組成。アーリー期の国内外のスタートアップへ投資をしている。

α TRACKERS(アルファトラッカーズ):独立系VCのグローバル・ブレインが2018年12月に設立した、オープンイノベーション推進に積極的な大企業を集めたコミュニティ。日本を代表するCVC運営企業をネットワーク化して各社の活動を支援していく。参画企業はKDDIを含む35社。Forbes JAPANはメディアパートナーとして関わる。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN 空気は読まずに変えるもの日本発「世界を変える30歳未満」30人」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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