5Gで中国に歩み寄るロシア、国勢調査でファーウェイとコラボ

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中国のファーウェイとロシア政府は以前から、5Gネットワーク構築で協調する姿勢を見せていたが、その取り組みがモスクワで始動した。中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は、今年6月に開催のサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)で、5G導入に関する合意を結んでいた。

ロシアの通信キャリアTele2は数週間前、エリクソンと共同で5Gネットワークをモスクワで始動した。そして先日の現地メディアの報道で、Tele2の競合であるMTSがファーウェイと共同で5Gの試験プログラムをモスクワで開始し、モスクワ全域に高速通信をもたらすことが明かされた。

6月の会談でプーチンと習近平は、ファーウェイのスマホがロシア製OSのAuroraを使用するプランについて話し合った。ロイター通信は先週、ファーウェイが2020年にロシアで行われる人口調査のために、ファーウェイ製タブレット36万台にAuroraをインストールする計画についてロシアと協議中であると報じていた。

中国とロシアの歩み寄りの姿勢は、世界のサイバースペースが米国側の国々と、それ以外の陣営に分かれる「スプリンターネット」化に向かっていることを示している。

モスクワで初めて5Gの試験導入が行われたのは、2018年6月のFIFAワールドカップだった。ロシアの情報担当大臣のEduard Lysenkoによると、ロシアの別の通信大手「メガフォン(MegaFon)」は当時、ノキア製の5G通信機器を用い、VR中継を実施したという。そして今、メガフォンもファーウェイと共同で5G通信の整備を進めているという。

中東ではイランと米国の対立が鮮明になりつつあるが、ロシアと中国はイランに歩み寄る姿勢を見せている。Lysenkoによるとロシア政府はファーウェイといかなる合意も結んではいないという。ただし、ロシア政府は通信キャリアが提携を結ぶ通信機器プロバイダーについて、制限を加えない方針を打ち出した。通信キャリアと通信機器プロバイダーらは、欧州市場と同じ、自由競争に基づいた取り引きが可能だという。
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編集=上田裕資

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