「人間味のある会話」をAIで教える仕組み、米企業で導入

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AI(人工知能)の導入が広まる中、ロボットが人間の従業員たちに「人間味のある」会話の仕方を教えるという場面が増えている。

Humana Pharmacyという企業ではAIアルゴリズムを活用し、コールセンターの従業員たちに「親切で親しみのもてる」対応の仕方を教えている。同社のシステム開発を行ったAI企業の「Cogito」は、新たな領域にアルゴリズムを活用しようとしている。

Cogitoのプログラムは、担当者が早口で話したり、声が大きすぎる場合にアラートを発し、より適切な対応を行うように促す。AIが特定のパターンを監視し、不親切な対応や思いやりがない会話を監視するのだ。このプログラムは、音声データの分析により、より効率的なコミュニケーションの実現を目指している。

ただし、AIは特定の指標を導けるものの、感情の動きを包括的に捉えることは、まだ難しい。CogitoのCEOのJoshua FeastはUSAトゥデイの取材に、「当社のシステムは人間の作業を置き換えるのではなく、コーチの役割を果たすものだ」と述べた。

「人間の感情を正確に汲み取れるのは人間だけだ。AIエージェントが人間の代わりを務めることは出来ない」とFeastは話した。

AIが人間性や共感の領域に踏み出すのは、これが初めてではない。AI研究者のAmit Ray博士は昨年、共感に関するDeep Compassionアルゴリズムを発表した。彼が目指すのは、この仕組みを心理的なケアに活用し、テロ活動や政府のデジタル監視ツールによって、人々の権利が侵害されることを防ぐことだ。

Rayは今後、AIが新薬の発見や、教育や法制度の改革にも有効であるとの考えを示した。アルゴリズムの活用で、人の心を理解するAIを開発し、人々の暮らしに役立てることも想定できる。世間で言われるように、AIが人々の仕事を奪うのではなく、仕事や暮らしのクオリティを上げる効果が期待されている。

編集=上田裕資

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