英消費者協会(CA)が行った英ブランド100社に関するアンケート調査で、ライアンエアーが6年連続の最下位になったことを受け、現在同社で起きている操縦士のストライキと劣悪な顧客サービスが事態をさらに悪化させているとの見方が出ている。
アンケートに参加した顧客らは、ライアンエアーと同社のビジネスのやり方を「欲深い」「傲慢(ごうまん)」といった言葉で表現した。しかしこの調査は、ライアンエアーが提供する商品を公正に評価したものとは限らない。
ライアンエアーのようなLCCが安価な旅を可能に
ライアンエアーとイージージェットが登場する前、欧州の空の旅は今よりはるかに高価で、航空便の数は少なく範囲も狭かったことを忘れてはいけない。LCCが新たな航路の便を就航させ、手頃なコストでフライトを提供しているおかげで、欧州各地を旅できる人が増えたのだ。
ライアンエアーでは、すべてのものに追加料金がかかる。それこそ、座席の指定から食事、飲み物、さらには荷物の機内持ち込みに至るまで。ありとあらゆるものが有料だ。しかし、1区間に20ユーロ(約2300円)しかかからないチケットに、何を期待するというのだろう? 私なら素晴らしい顧客サービスは絶対に期待しない。
ライアンエアーは非常によくできたビジネスモデルの上に成り立っている。価格を非常に安く抑えながらも利益率が世界トップクラスである理由はここにある。
私の場合、欧州で最安のチケットを予約したいときはまずライアンエアーを見る。同社は間違いなく最安であり、この価格帯で豪華な顧客サービスを求めることは理不尽だと私は思う。ブリティッシュ・エアウェイズなどの「プレミアム」で「フルサービス」とされる航空会社に3倍の料金を支払ったとしたら、おそらくもっと良いサービスが期待できるだろう。しかし欧州では現在、ほとんどの航空会社が低価格モデルで運行しており、乗客はほぼ全てのサービスに追加料金を支払わなければならない。
同社のマイケル・オレアリー最高経営責任者(CEO)は、低価格路線を定期的かつ頻繁に強化してきた。これまでに、機内のトイレの使用を有料にするというアイデアを検討したことがあり、2010年にはフライト1便につき操縦士を1人だけにする許可を申請しようとしたことで操縦士組合を怒らせた。
多くはオレアリーを「欲深い」人物とみているかもしれないが、一方で彼を「マーケティングの天才」と呼ぶ人もいる。彼は世間の注目を集め、議論を巻き起こそうとしているが、重要なメッセージは同社が最安の航空会社であるということだ。また、ライアンエアーを使えば時間通りに目的地に着くことができる。