街で見かけるようになったVR、本当にブームなのか?

「人々はテレビを必要としないだろう、毎晩箱を見てるだけではうんざりするだろうから」 

20世紀フォックス創設者ダリル・ザナックの1946年の予言は見事に外れ、その後映画館は衰退し、テレビ黄金時代が訪れた。コンピューター業界でも「世界で5台ぐらいしか売れない」(IBM創業者トーマス・ワトソン)、「家庭でコンピューターを使用する必要はない」(DEC創業者ケン・オルセン)といった言葉が有名だが、エキスパートも間違うというより、よく知っている人ほどかえって未来は見えないものだ。

新しいメディアの出現は、古い世代には若者の意味不明な反乱のように受け取られがちだが、AIとかIoTは次の産業革命を牽引すると言われて納得するものの、最近話題のVRなるものはどうだろう? 

ときどきテレビなどでも話題になるが、まだ多くの人にはゲームオタクの奇妙なトレンドにしか見えないだろうし、ネットの調査でも9割の人が言葉は聞いたことはあるが、実際に体験した人は6%に過ぎないという状況だ。

最近はそうした人が手軽にVRを楽しめる施設が増えているというので、7月に池袋のサンシャインシティにできたばかりの、バンダイナムコアミューズメントが運営するテーマパーク「MAZARIA(マザリア)」に行ってみた。


東京・池袋に新設された「MAZARIA」(筆者撮影)

ドラゴンクエストやマリオカート、ゴジラやガンダムの世界に入れる、19ものアクティビティと呼ばれるVR世界がある大規模な施設だ。今年3月まで期間限定で新宿・歌舞伎町にあったVR Zoneが移転したものだが、入口には派手なディスプレイがパックマンなどの映像を映しているが、他には施設名と一緒に「アニメとゲームに入る場所」と書かれているだけで、VRを連想できるものは何もない。

「ドラクエは好きだけどVRの最新ゲームは苦手」という人向けに、VR自体を目的にするのではなく、週末に楽しめる遊園地の感覚で来てもらえるようネーミングから工夫し、下の階のナンジャタウンとも行き来できるようになっている、とMAZARIAをプロデュースするコヤ所長こと小山順一朗さんは言う。
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文=服部 桂

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