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「おしゃれなホテルを5軒も運営している23歳の女子東大生経営者」。龍崎翔子の肩書きはあまりにもキャッチーで、多くの人々の関心をとらえて離さない。しかし、彼女が評価される理由をキャッチーな肩書きだけで語ることはできない。日本のホテル業界に、新たなムーブメントを引き起こした立役者の一人だからだ。

龍崎は今回、日本を代表するビジョンや才能を持つ30歳未満の30人を選出する企画「30 UNDER 30 JAPAN 2019」のコンシューマー・ビジネス部門を受賞。



若くしてホテル経営に身を乗り出した龍崎に、新たな潮流を生み出すことができたのはなぜなのか。彼女がビジネスを通じて表現しようとしていることを紐解いていくと、その答えがみえてきた。

土地の魅力を掘り起こしてホテルに実装

「2年ほど前のことですが、これ以上、取材を受けたくないと思っていた時期がありました」

そんな告白からインタビューははじまった。ホテルのクオリティそのものよりも、若く優秀な女性が経営をしているという自身のパーソナリティがセンセーショナルに取り上げられる。連日テレビから取材依頼が入るようなマスコミの過熱ぶりから離れようとした背景には、自信を持って人に勧められるような、納得できるクオリティのホテルづくりに専念したいという思いがあった。

龍崎が再びメディアの前で語りはじめたのは、2017年9月にオープンした「HOTEL SHE, OSAKA」がきっかけだ。ホテルをつくるときに描いた「街の歴史とトレンドカルチャーをRemixさせたソーシャルホテル」というコンセプトが、宿泊客にきちんと感じ取ってもらえている手応えを感じたからだ。

同ホテルは、大阪・梅田エリアから少し外れた弁天町にある。市内中心部と比べると賑わいは寂しく、駅の乗降者数も多くないが、昭和の風情が感じられる商店や銭湯が立ち並び、レトロな空気を有している。龍崎は、この町に残るアナログ感を魅力ととらえて、ホテルでは、アナログとデジタルを組み合わせたライフスタイルを提案した。

例えば、すべての客室にはレコードプレイヤーを設置しており、有名なショップが厳選した作品の中から、自分の気分に合わせた音楽を楽しむことができる。ホテルの外観や内装は港町として発展してきた弁天町の歴史が感じられるブルーレンガを基調としたデザインで、フロントには、宿泊客の間で自然にコミュニケーションが生まれるようにL字型にソファを配置した。

龍崎は、それぞれの土地の良さを掘り起こし、その魅力をホテルに実装して伝えることで、滞在そのものが目的となるような文化やファッションが融合した空間を演出する。最初の「petit-hotel#MELON富良野」をオープンした2015年当時、こうしたホテルは日本では珍しかったが、のちに「ライフスタイルホテル」と呼ばれるようになり、現在では多くの大手ホテルチェーンが取り入れるようになった。

文=伊勢真穂 写真=小田駿一

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