週末のパリの花屋に「男性客」が多い理由

ヨーロッパがバケーション期間に入った8月、青山フラワーマーケット・パリ店の店長が一時帰国しました。

パリの話をしていたところ、「パリは圧倒的に男性が花屋に来る比率が高いよね」という話になりました。確かに、パリに出向き、店の隣のカフェからじっくり様子を見ていると、週末の午前中は特に、8〜9割という高い確率で男性が来店するのを目にします。

それも、よく見ていると、牛乳とかワインとか女性が持つには重たいものを買い出しに行って、その帰りに花屋に寄って帰ることがパターン化しているように感じます。



また、うちの店ではありませんでしたが、スーパーから出てきた男性がチューリップの束を抱えていたり、何かの練習帰りらしい若者のスポーツバッグの中から水仙が顔をだしていたり……。

特別な日のプレゼントや誰かへのギフトではなく、自宅に飾る花。パリではその花を買うのは女性の習慣ではなく、週末の男性の仕事なのかもしれません。

日本でも縮まる「花屋と男性」の距離

では、日本の店舗では男性がどのくらい購入されているのか。青山フラワーマーケットのデータによると、今年に入ってからの全店(約100店舗)の平均男性購入比率は19%でした。うちは他の花屋に比べると男性比率が高い方で、僕が覚えている限り、以前は15%台、それが16%台までになったと認識していました。今年は19%まで伸びてきているのは、加速度的に男性が花屋との距離が縮まってきているなと感じます。

店の代表商品として「ライフスタイルブーケ」という出来合いのブーケがありますが、それを始めた頃に、パッと買えるということで、花屋での長居を好まない男性が今まで以上に買っていく様子が見られました。最初は若い男性が多かったものの、しばらくすると、少し年配の方もそのブーケを買うようになっていきました。


青山フラワーマーケット・パリ店の様子

次に目撃したのが、若い男性が花材のコーナーで、ゆっくり、まるで自分の服を選ぶが如く、花合わせ・色合わせをしている姿。ファッション感覚で、色んな花を取ったり戻したりしながら合わせているシーンを見て、時代が変わってきたなと感じました。

最近では、60代と思われる男性が、スーパーの買い物帰りにお店に寄って、じっくり花を選ばれている姿をみて、日本の男性と花の距離も、だんだんと近くなってきているなという感覚を得ています。
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文=井上英明

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