米大学新卒者のキャリア、ギグエコノミーの台頭で大きく変化

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履歴書よりもポートフォリオ作りに取り組む

親からは、良い履歴書を用意して多くの有名企業でインターンシップをすることが、大学卒業後に良い仕事を見つける鍵だと言われたことだろう。しかしそれは近い将来、もはや通用しなくなるかもしれない。雇用主の大半は、応募プロセスのオンライン化を進めており、特に契約労働者やギグワーカーの採用ではその傾向が高い。そのため、履歴書や職務経歴書の重要性は下がっている。

オンラインの応募プロセスでは、履歴書や職務経歴書が不要なことが多い。その代わりに応募者は、いくつか一般的な個人情報(名前や年齢、居住地や能力など)を提出し、スキル・経験を説明することを求められる。

とはいえ、ギグワーカーを採用する雇用主の中で、職務や責任、達成事項などが箇条書きされた長々しい仕事のリストを見ようとする会社は少ない。雇用主は逆に、あなたを採用したら何が得られるのかを示す職歴の“プレビュー”をすぐに見たいと思っている。こうした理由により、通常の履歴書や職務経歴書よりも、自分の能力を全てアピールできる強固な個人ポートフォリオ作りの方がはるかに重要となる。

米調査会社フォレスターのマシュー・グアリーニ副社長兼研究部長はさらに踏み込み、次のように述べている。「従来型の履歴書・職務経歴書自体がいずれ役に立たなくなるだろう。リンクトインやギグを基盤としたマーケットプレースなどを組み合わせることにより、履歴書や職務経歴書は時代遅れのものとなる。この組み合わせにより、必要な情報はデジタル化されてほぼリアルタイムになり、意思決定が改善する」

学校での起業支援プログラムを活用する

学生を、卒業後に待ち受ける仕事の現実に備えて完璧に訓練できる従来型高等教育機関は少ない。新たな仕事とスキルセットは、教育者がカリキュラムを更新するスピードよりもはるかに高い速度で出現している。

しかし、クリエーティブ系を主とする一部大学は現在、ギグエコノミーに対しより積極的な立場を取っている。米国では2016年以降、16の大学がアート事業インキュベーターを立ち上げ、さらに16の学校が資金調達コンテストやビジネスコーチング、アーティスト・イン・レジデンスのプログラムを開始した。

ミシガン大学とノースカロライナ大学芸術学部は、この分野を率いる存在だ。両校とも現在、イノベーションと起業に関する授業を提供しており、ダンスの指導者が有料で指導のコツやアドバイスを共有するためのウェブサイト構築など、学生の将来の取り組みの助けとなる新たなプロジェクトの立ち上げを支援している。

また、マーケティングやビジネスプランニング、自己プロモーションスキルの改善など、学生の中核的な起業能力の開発も支援している。こうすることで、一部の学生は仕事の機会を自分で構築し、卒業することができる。

大学卒業後に追求する価値のあるキャリアはもはや、企業に勤めることだけではない。ギグワーカーや契約労働者への需要が増える中、早いうちからギグエコノミーに深く関与し従来型の雇用を選んだ仲間よりもはるかに速いペースで成功することで、より良い未来をつかめるかもしれない。

編集=遠藤宗生

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