経血は赤い。しかし、それを連想させるような赤い液体を広告で使用すれば、その企業は消費者からどんな反応をされるだろう。
人前で話すこともタブーとされている生理を、直接的に表現する広告には、嫌悪感を示す消費者がいるかもしれない。だからこそ、そんな常識に真っ向から挑戦した企業がある。
経血を連想させる赤い血液を、堂々と広告クリエイティブで使用した、スウェーデンの生理用品を展開する「リブレッセ」だ。
以下が、同社の広告キャンペーン「Blood Normal」だ。これを観てどう思うだろう。
この動画は多くの人から反感を買うどころか、世界の舞台で喝采を浴びた。
2018年、世界3大広告祭のひとつに数えられる「カンヌライオンズ」で、リブレッセは性差別や偏見を打ち破る作品に贈られる、グラスライオン部門でグランプリを受賞。
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「生理がタブーなはずがない。それを隠さないことも、普通のこと」という同社のウェブサイトにもあるメッセージが、成人女性のみならず、男性からも共感を得た結果だろう。
そんなリブレッセが、今年もカンヌライオンズ で同じくグラス部門、フィルム部門でゴールドを獲得するなど再び注目を集めた。それが、この広告キャンペーン「VIVA LA VULVA(外陰部バンザイ!)」だ。
女性器を連想させる貝殻やフルーツが、冒頭から最後まで何度も登場する動画に困惑する人もいるはずだ。しかし、「あなた(自分の性器)が私のもので本当によかった」と繰り返されるメッセージが、女性消費者の共感を得た。
公式サイト上で、この動画は500万回以上再生された。キャンペーンと同時時期に発売された新商品は、3カ月で市場シェアを33%にまで伸ばした。ここまで売り上げを伴い、動画も支持されたことには、女性の半数は自分の性器に自信がなく、なかには美容整形をする人もいるという背景も関係していることだろう。
ブランドにより、機能や価格に大きな差のない生理用品業界において、ここまで強烈なメッセージを発信した企業は、これまで存在しなかった。
2年連続で世界の舞台に立てば、当然、来年も受賞が期待される。
来年の受賞については未知数だが、「女性のタブー」を自社の製品と絡めて広告を展開してきたリブレッセが、次にどんなメッセージとともに広告を打ち出してくるか注目を集めていることは間違いない。
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