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星賢人

日本を代表するビジョンや才能を持った30歳未満の30人を表彰する「30 UNDER 30 JAPAN 2019」のソーシャルアントレプレナー部門に選出された星 賢人。大学と大学院のダブルスクール中の2016年1月、LGBTに特化した就活・転職サイト「JobRainbow」を開設し、ユーザーが増え続けている。

掲載企業は300社に上り、月間利用者35万人を突破。今年3月、渋谷で国内最大級のLGBT合同説明会「Real JobRainbow」を開催すると、LGBTフレンドリーな企業21社と約800人が来場した。

星自身、ゲイの当事者で中学時代には不登校を経験し、高校卒業まで自分のセクシャリティを周りに相談できず、悩み続けた。なぜ、彼はその体験をもとに起業する道を選んだのか。



じめっとしたある日、星は笑顔で待ち合わせ場所に現れた。黒をベースにしたジャケット姿で、物腰柔らかな雰囲気が印象的だ。

まず、星の幼少期の話を聞くと、女の子の友達や姉とおままごと遊びをする時はお母さん役になり、セーラームーン好きだったという。しかし、女性になりたいわけではなく、自身を男だと思っていた。周りからもそのままの自分を受け入れられていたが、それも中学に入学するまでだった。

共学の中高一貫校を目指すも受験に失敗した星は、男子校の一貫校に入学した。中学1年生の時、剣道部の練習中に、顧問の教師から「なよなよするな」と厳しく指導され、「男らしくしろ」と言われている気分を味わった。さらに当時オネエ系タレントがテレビ番組を賑わしていたからか、クラスメイトからは「オネエと共通点がある」とからかわれた。

周りがアイドルや異性の話で盛り上がるのを見ていた星は、「同性愛者である自分を自己否定していたし、相容れない人たちが周りにいるのは辛かった」と振り返る。徐々に学校で居心地の悪さを感じ、中学2年生の終わり頃から授業をサボって池袋のネットカフェに通うようになった。母親がそっと財布にお小遣いを入れ、お弁当も用意してくれた。

当時オンラインゲームにはまり、毎日ログインして参加者とチャットをしながらゲームをする日々だった。顔の見えない友達ができると、周りにゲイであることを打ち明けた。彼らは「それでもいいんじゃない?」と意外とあっさり受け入れてくれ、人の温かみを感じた。ゲーム仲間もまた、いじめの経験者や引きこもり、ニート、深夜アルバイトで稼ぐ人など、多様な環境に置かれていたのだ。

「プロゲーマーになれるのは、ほんのひと握り。このままゲームを続ける人生は歩めないな」。次第にそう思うようになり、高校生になると遅刻しがちではあったが、学校に通うようになった。同時に、「オンラインで気の合う人たちと繋がると生きやすくなる。匿名性のあるオンラインを通して人を助けたい」という気持ちも芽生えていった。

文=須貝直子 写真=小田駿一

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