世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


自分事だから、エンパワーメントしたい

インタビューの終盤、「女性のことになると他人事にはできない」と石井が話していたのが印象に残っている。発展途上国の女の子が教育を受けられないという現状を知れば悲しくなり、レイプなど性犯罪のニュースを見れば怒りがこみ上げる。理由なんてない、ずっと前から石井にとって女性を取り巻くすべての問題が自分事だった。

そんな石井が、「日本の女の子たちは制約されているのに、それに気づいていない。彼女たちに知らせなければならない」と使命感に駆られたのも当然のことだった。

大学卒業後はIT業界でキャリアを築き、SNSコンサルタントとして日々500以上のアカウントをウォッチしてきた石井。2017年、ある出来事に衝撃を受ける。アメリカでその年を象徴するキーワードが「フェミニズム」と発表され、欧米ではSNSでも「フェミニズム」に関する発信が沸いていた。

ところが日本にはそういった動きが見られず、違和感を覚え、各国の社会進出における男女格差を示すジェンダーギャップ指数を調べてみると、日本は144カ国中114位 (2017年)。主要7カ国の中で最下位だった。男女平等を疑うことなく生きてきた石井にとって、日本がジェンダーにおいて先進国ではないということは大きなショックだった。

石井はBLASTを立ち上げてから1年余り、情報発信を通して女性をエンパワーメントしてきたが、今後はプロダクト事業という新たなステージを展開しようとしている。

「女性をエンパワーメントするためのアプローチの仕方は、いろいろある。女性にとってネガティブだったモノをポジティブなモノに変換し、主体性を持てるよう提案することもそのひとつです」

まずは来年の春頃発売を目指して、生理期間を快適に過ごせる生理用品の開発に取り組んでいる。そして、コンドームやセックストイといったこれまで男性主体で作られ消費されてきた商品も、女性目線で生み出していきたいという。

日本では女性が性とセックスについて関心を持ち、その話題に触れることはタブー視されてきたが、どうしていけないのだろうか。石井は旧来の価値観に踏み込んで疑問を投げかけ、固定観念を覆す新たな気づきを与えてくれる。

女性はもっと、主体性を持って自分らしく生きていい。

そんなメッセージを「BLAST」の動画コンテンツや商品にのせて、石井は日本の女性たちをこれからも解放していくのだろう。

<受賞者たちへの共通質問>
今後3年で成し遂げたいことは?




いしい・りな◎1990年生まれ。大学卒業後、新卒で「オプト」に入社しWeb広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントとして企業のマーケティング支援に従事。その後ベンチャー企業でオウンドメディア「COMPASS」を立ち上げるとともに、フリーランスとして活動する。2018年3月、女性向けエンパワーメントメディア「BLAST」を設立し、代表取締役に就任。

石井をはじめとした、個性あふれる「30 UNDER 30 JAPAN 2019」の受賞者の一覧はこちらから。若き才能の躍動を見逃すな。

文=松尾友喜 写真=小田駿一

PICK UP

あなたにおすすめ