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Azit 吉兼周優

自動運転にコネックテッドカー、MaaSと、急速にテクノロジーの活用が進むモビリティ領域。しかし、自家用車による有償運送が「白タク」行為として禁じられている日本では、ライドシェアのサービスは未だ普及していないのが実情だ。吉兼周優が率いるAzitは、ここに可能性を見出し、モビリティ・プラットフォーム「CREW(クルー)」を打ち出した。

吉兼は今回、日本を代表するビジョンや才能を持つ30歳未満の30人を選出する企画「30 UNDER 30 JAPAN 2019」のコンシューマー・ビジネス部門を受賞。

一筋縄ではいかない領域で、なぜ吉兼は挑戦を続けるのか。そして、彼が目指す将来像とは。



「CREW」は、近くにいるドライバーをアプリ上で見つけて、目的地まで運んでもらうモビリティ・プラットフォームだ。相乗りをさせてもらう点では一般的なライドシェアと同じだが、他にはないユニークなモデルを適用している。

それは、ドライバーに対して、運賃ではなく任意の感謝料を渡すというもの。つまり、タクシーとしてではなく、街を走るドライブ好きな人に相乗りさせてもらう感覚で利用する。サービスの将来性が認められ、Azitは2018年に、総額約10億円の資金調達に成功している。

「CREW」のサービスは、2015年10月に開始。吉兼は、ここまでの進捗を「100満点中の5点。全然です」と振り返る。「想定外のことだらけでした。当初は、何もわかっていなかったんです」

吉兼がAzitを立ち上げたのは、慶應義塾大学に在学中の2013年。趣味の延長線として、エンジニア仲間の数人とアプリ開発を行なっていた。当初から目指していたのは、社会にインパクトを与えるようなコンシューマー向けプロダクトの創出。ファッション系のECや、教育系のITサービスなど、自前のプロダクトをローンチしては、ピボット(方針転換)を繰り返していた。

「自分は、強烈な原体験があって、熱量で事業を突き進めるタイプではないんです。市場に対して仮説を立てて、冷静に進めていく。だから、自分の中で“勝ち筋”が見えた道を選ぶようにしているし、仮説が外れたら、すぐに考え直して意思決定をしています」

いくつかのプロダクトに挑戦したものの、どれもスケールはしなかった。しかし、転機が訪れる。視察した米国シリコンバレーで、ウーバーなど、最先端のモビリティ・サービスに触れて、衝撃を受けたのだ。当時、日本にはモビリティ領域のスタートアップがまだほとんど存在していなかった。吉兼は、このマーケットの余白に着目した。

文=花岡 郁 写真=伊藤 圭

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