挑戦する人と挑戦する企業をつなぐ、Forbes JAPAN 初の採用ブランディング

一休、と聞いて思い浮かべるのはやはり、高級ホテル・旅館の予約サイトというイメージだろう。2019年、同社の基幹事業である宿泊事業の執行役員に就任したのが、巻幡隆之介だ。

2007年に一休に転職した際、巻幡は自身のキャリアとしても初のセールスを経験。その後は、新規事業やレストラン事業における関西支社立ち上げの経験を積み、今回の就任直前まではレストラン事業の執行役員を務めていた。

一休にとってセンセーショナルだった、2016年3月のYahoo!グループへの参画をはじめ、株式会社一休の様々な挑戦を、文字通り現場の最前線で切り開いてきた一人だ。

事業をつくる喜びと葛藤に加えて、レッドオーシャンの様相を呈してきた宿泊事業において、どのように戦う決意なのか。その問いかけを通じて見えてきたのは、一休のサービスから感じる「スマートさ」ではなく、泥臭くもがきながら進んできた、巻幡自身のいくつもの変化の軌跡だった。

プレイヤーとして。「誰よりも動く」という気概で立ち上げた、関西支社

今や一休の主力事業の一つとなったレストラン事業。その関西支社立ち上げ時のエピソードから、「猪突猛進型だったし、良くも悪くも今もそうかもしれない」という巻幡のことが、ほんの少し理解できる。

2014年のある日、巻幡は榊(現 代表取締役社長、当時の事業本部長)から、「レストランは宿泊と違って、基本的には地元の人が利用する事業。であれば、地元に根付いてやっていかなければ、ユーザーに良いサービスは提供できないと思うんだけど、どう思う?」と聞かれた。

「まさにその通りだ」と思った。東京から出張ベースで営業に行っている現状では、関西のことはわからない。別に自身への異動打診ではなかったにもかかわらず、「ぜひ、やらせて欲しい」と志願し、関西支社の立ち上げを担うことになった。

関西支社の責任者という立場ではあったものの、巻幡含む2名での船出。メンバーは若手社員だったことから、自身が率先して営業をするプレイヤーしての役割が大きく求められていた。

東京と比べると売上はほとんどない状況。一休というブランドも一般ユーザーには少しは知られていたが、レストランオーナーには知られてない、認知度の低い状態からのスタート。「誰よりも自分が動く、誰よりも一生懸命やる」。ただそれだけで、走り始めた。

「これをやれば上手くいくなんていう、秘策なんてありませんでしたよ」。巻幡たちが営業できる時間は、一日たった2,3時間。ランチ営業後とディナー営業開始前の、14時から17時しかない。とにかくレストランへ足を運ぶという、秘策どころか、新規営業の王道とも言える地道な作業だ。

四六時中、仕事の事を考え、睡眠時間を削って仕事、仕事、仕事。「自分でやりたいと志願して来たんだから、必ず成果を出すんだ」という強い思いが泥臭い営業の日々で巻幡を支えていた。



役員として。自身でやり遂げるのではなく、メンバーを信じ任せること

関西での濃密な期間を終え、巻幡は東京に戻った。そしてYahoo!グループへの参画を知る。2016年4月にはレストラン事業における本部長であり、執行役員にも就任することとなったのだ。

本人にとっては、青天の霹靂。ただ、この昇進は関西での巻幡が評価されたということの証でもある。

自らのスタイルを「猪突猛進型」と呼ぶ巻幡。プレイヤーとしては最高と言えるかもしれないが、事業責任者となれば必要とされる能力は違う。

「事業責任者として、メンバーを導くために自分が最も早く最も正しい解を出せるだけの知識と経験を持たなければいけない」。巻幡の言葉は一見、正解のように見えるが、見方を変えると少し独善的とも言えるかもしれない。

貪欲な挑戦で成功と失敗を積み重ねるという姿勢は、マネジメントの立場となった場合に、どう出たのだろうか。

すると巻幡は苦笑いとともにこう言った。「おっしゃる通り......僕のマネジメントは失敗だらけなんですよ」。

就任当初は「自分が全てに関与し、工夫して成果を出す」と奮起することで、一見、上手く回っているように見えた。しかし、入社人数も増加し、メンバーは100名超に。当然、メンバーのすべての業務に、直接関与することなどできるわけはない。

「これまでのやり方では通用しない、何かを変えなければいけない......」。これは、プレイヤーとしての成功体験を持つ人間が、マネジャーになった時に陥る、困難の典型例とも言えるのだろうが、巻幡もまたその困難の渦中にあった。

そして迎えた、一休独自の”部下が上司を評価する”Upward評価。メンバーたちからは、いくつもの“痛烈な”メッセージが寄せられた。

「巻幡さんは、何でも自分一人でやってしまう」

「巻幡さんは強いから、困っていないのでは?」

「悩んでいることが見えない。人間味を感じない」

一見、批判のように見えるが、もっと自分たちを頼りにして欲しいという、メンバーからの切なる願いでもあった。

「この時のメンバーからのメッセージは、今も時々、読み返すんですよ」と巻幡は言う。それは、自分一人で戦うのではない、メンバーと一人ひとり共に力を合わせて事業を作っているのだという、自分への戒めに他ならない。

そこから、巻幡は変化していく。



自身のマネジメントを変革させなければ、“ユーザー”を満足させられない

これまでは全ての施策まで細かく指示していた巻幡だが、事業方針や大枠の方向性をリーダー陣に伝達した上で、「任せる」というスタイルに変えていく努力をしようと決意する。巻幡の指示ではなく、個々のクリエイティビティを信じたいと考えたのだ。

「今もそうですが一休としてご紹介したいレストランさまには、まだまだご参画いただけていません。事業の立ち上げフェーズの場合、ユーザーに提供できる商品数、つまりレストラン数が事業を成長させる要因なので、そこを充足させたかった。予約できる素敵なレストランが多くないと、ユーザーにとっても嬉しくないじゃないですか」

事業がスケールしないということ。言い換えれば、一休を愛し、日々利用してくれるユーザーの満足度を高めることができないということ。どこまでも行っても、「ユーザーファースト」の意思決定が一休には見事に根付いている。

全国には素晴らしいレストランが数多とある。それを多くのユーザーに知ってもらうために。そして一休レストランのサービスの原点である24時間365日いつでも簡単便利に、良いお店が予約できる世界を作るために、巻幡、そしてメンバーたちは奮闘した。

結果として、巻幡が事業本部長を務めた3年間で、レストラン事業は東京本社、大阪支社以外に名古屋、横浜、京都、福岡と全国に4ヶ所に拠点を設け、新たな展開をはじめることができたのだ。大阪支社を立ち上げ軌道に乗せた巻幡だからこそ、強くアクセルを踏みこむことができたのだろう。

「嬉しかったですよね、とにかく嬉しかった」

巻幡自身の変化も事業の成長に大きく起因したがそれよりも、過去に巻幡にメッセージを送ってくれていたメンバー達が、新サービスや支社の立ち上げに自ら手をあげ牽引してくれた。これが全てだろう。

そして2019年。巻幡は、一休創業以来の核となる、宿泊事業の執行役員に就任した。事業を率いるトップとしての想いを聞くと、「一休での予約体験を、ユーザーにとって最高に心地よいものにしたい」という答えが返ってきた。

「ユーザーがまだ知り得ない、たくさんの情報があります。目指すべきは、それを押し付けるのではなく、ユーザーの気持ちに寄り添いながら、ちょうどいい距離感で伝えていくことです。例えば、あるユーザーが『●月●日箱根、大人2人子供2人』で検索し、3つの宿を比較したうえで予約しなかったとしましょう。その後、改めて宿を比較しようとした時、子供を連れていける最適な宿ランキングが表示されたらどうでしょうか?そんな形でユーザーのニーズに寄り添っていければと。

つまりは、心地良いサービスを、みんなで世の中に提供していきたいのです」

自分一人ではなく、メンバーの力を集結して勝つ。圧倒的個を誇った巻幡は今、最高の指揮官として最高のサービスをチームで育てようとしている。そんな最高のサービスに私たちが触れる日は、そう遠くないうちに訪れるだろう。

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