「すぐ眠れる」は自慢できない。ビジネスパーソンが知らない慢性睡眠不足

shutterstock.com

「私は3秒で寝れる」「寝付きには困らない」「私は秒速で寝れるからすごいでしょ」

私が企業向けに睡眠改善のコンサルティングをしていると、このような声をよく耳にします。

まるで睡眠に問題がなく、健康そのもののように聞こえますが、実は、このような状態は決して自慢できない「慢性睡眠不足」である可能性が高いです。

ベッドに入ってから1分以内に眠れる状態は、日頃から睡眠負債が蓄積しており慢性的に睡眠不足の状態にあり、なんとか睡眠時間を確保しようと必死になっている状態、または寝酒をして一気に寝落ちしている状態が考えられます。

睡眠不足が慢性化すると、活動している時に眠気を認識しづらくなるので、仕事でケアレスミスが増えたり、居眠りするなどの弊害がでてきます。さらに、中長期的には様々な生活習慣病や認知症の大きな要因にもなると言われています。このように睡眠状態が健康と人生に大きく関わっていることは、皆さんなんとなくは認識されていることだと思います。



ニューロスペースがビジネスパーソン500人を対象に「2018年睡眠負債実態調査」を実施すると、この慢性睡眠不足は、悩んでいる人が2番目に多いという結果に。日勤者、夜勤者、シフト勤務など、ほとんど全ての職種や業界でトップ3内にランクインする典型的な悩みであることがわかりました。

実際に経済協力開発機構(OECD)がまとめた睡眠時間の国際比較では、2018年に日本が最も睡眠時間が短い国1位としてランクインし、この慢性睡眠不足の広がりを裏付けするデータとなっています。日本の睡眠時間が世界で一番不足している原因は、個人の生活習慣や思考だけでなく、企業の労働環境や働き方にもあるでしょう。

それでは、この国民の大きな悩みともされる「慢性睡眠不足」を日頃からどう解消していけばいいのでしょうか。今回は3つのテクニックを紹介します。

1. 早く寝れる日は早く寝て、起きる時間は一定にする

個人差はありますが、理想的な睡眠時間は7〜8時間ほどと言われます。しかし、その十分な睡眠時間を日頃から確保することは現代社会で働くビジネスパーソンにとって現実的ではないでしょう。それでも、確保できるかぎりはするようにしましょう。

起きる時間をずらすと概日リズムがずれてしまうので、基本的に起床時間は一定にするのが理想です。そのため、変えるのは寝つきの時間。仕事量や帰宅時間の調整で、眠る時間を増やすことが有効です。少し疲れているなと思った時は早めに帰宅して、眠る時間を早めましょう。
次ページ > 仮眠の極意

文=小林孝徳

ForbesBrandVoice

人気記事