もうひとつ香港の飲食店で気づいたのは、水を温めて提供していることです。香港の外気は30度以上と日本の夏と同じように暑いものの、ほとんどの店で水は常温や氷水ではなく、温めて出しているのです。
日本でも冬になると、女性を中心に「温活」などが話題になりますが、香港では季節を問わず、体を冷やさないことへの意識の高さがうかがえました。私自身、普段から飲み物は氷抜きで頼んでいるのですが、このような文化が根付いていることも、平均寿命が長い理由ではないかと強く感じました。
他にも、路面電車を含む電車やバス、フェリーといった交通インフラが発達しているため、マイカー要らずで、歩く機会が多く、日々の歩数を確保しやすいこともあるようです。
ジャンクフードの量が減った
これらのフィールドワークに加え、ウェールズ、スウェーデン、フランス、アメリカ(ボストン)、中国(本土)、日本(現地滞在10年)の出身で、香港に在住している方々に「香港に住んでいて健康的だと思う点を教えて」とヒアリングしてみました。
取材に応じてくれたLinus Jonsson氏(スウェーデン出身)
自分の出身地と比較したときの飲食の味付けや歩数についてだけでなく、以下のような感想も聞かれました。
・香港にきて風邪をひかなくなった(温暖な気候)
・物価が高いので、飲食の量が減る(ジャンクフードも高いので控えるようになった)
・医師が優秀(欧米の知識と東洋医学の双方の知見を兼ね備えている)
しかし、一方で、香港の平均寿命が長いというデータに関しては、皆さん「本当?」と懐疑的でした。長時間労働や歩くスピードが早くストレスフルな印象なので、メンタル面に課題を抱える人は香港の方が確実に多いのではないかというのが理由でした。
なにはともあれ、今回の現地調査でもっとも大きな気づきは「飲食の味付け」です。足し算ではなく引き算。経済的にも体にも負担をかけず、継続性も高いやり方で、身近なところから健康意識は変えられる、と僕自身も再認識できる旅となりました。
日本では、健康のために高価な健康食品を食べる人もいますが、まず自分の舌に優しい食生活を意識されてみるのはいかがでしょうか。
連載:ポテンシャルを引き出すライフスタイルのコツ
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