ビジネス

2019.08.30

食品を輸入しては捨てまくる日本で、フードロスの根本解決に挑む #30UNDER30

コークッキング代表取締役CEO 川越一磨


TABETEの会員になると、本来価格から2~3割安く買うことができ、1回売れるごとに店からコークッキングに150円が支払われる仕組みとなっている。

「今のところは店舗拡大時期なので収益化に重きをおいていませんが、マネタイズについても向こう数年以内に実現しようと思っています。フードロスという社会課題への関心、機運は高まっていると感じているので、ソーシャルインパクトを出しやすい事業環境になりつつあると思っています」

食のサプライチェーンをつくり変えたい

TABETEは飲食店、中食の店舗のフードロスを削減するサービスだが、冒頭でも出たように一次産業から流通に至る経緯でも多大な廃棄が生まれている。川越は、廃棄される食品をトータルで救い上げるプラットフォームをつくり上げたいと話す。


1周年記念パーティーの様子

「食のサプライチェーン全体を変えていきたいんです。例えば、これまではJAが農産物の規格を設定、管理することで価格の安定性を保ってきました。それはそれで意義のあることだったのですが、多大な食品ロスが生まれる状況を止めることはできません。もっと農家と消費者が直接つながるような、少なくともその間を大幅にショートカットできるようなマーケットを、テクノロジーを活用して新しくつくりたい。いわば、持続可能な『食の二次流通マーケット』ですね。そうすることで、食品ロスをトータルで削減することができると思っています」



最後に、「自分は成功した人間だと思うか」と聞くと、「成功って何でしょうね?」と逆に問いただされた。

「人生が思い通りになっているかと言われれば全くそんなことはありません。でも、思い通りだったとしたら、それはそれで面白くもなんともない。たくさん失敗して、いろいろなことが起きて、その中でのらりくらりやっているのが現状ですが、そのこと自体が楽しいと感じています。

お金持ちになりたくないわけではないですが、なったとしてもそれはただの結果であって、成功とは関係ない。社会が自分の目指す方向に変革された、よくなったと実感できたら、それは成功なのかもしれませんが、成功だと思った瞬間にその次に何をしたらいいのか分からなくなる気もしていて。成功の定義って、難しいですね」

<受賞者たちへの共通質問>
今後3年で成し遂げたいことは?



かわごえ・かずま◎1991年東京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、銀座ライオンを経て、15年に創業。食を通じた課題解決に取り組む。

川越をはじめとした、個性あふれる「30 UNDER 30 JAPAN 2019」の受賞者の一覧はこちら。若き才能の躍動を見逃すな。

文=衣谷 康 写真=小田駿一

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