ユーザーの行動データを可視化する
今までメーカーは、「商品が小売店でどのくらい売れたのか」という定量的な情報のみしかデータを手に入れることはできなかった。購入者の定性的な情報は実店舗に赴き、販売員に聞けば手に入れることができたが、正しい詳細情報はなかなか手に入らない。
つまり、その商品がどのような属性に売れ、どのような商品と一緒に購入されたのかという定量的なデータをメーカー側は可視化できていなかった。購入データをオープンにするスタンスの企業は日本ではまだまだ数が少ないが、NOINはユーザーデータをメーカー側へオープンに提供している。
「僕らが提供できるデータは、ユーザーの住所や年齢、倉庫に在庫を抱えている消費の情報とアプリ内でのユーザーの行動、購入に至るまでの比較検討、一緒に購入する商品などのデータの掛け合わせです。日本でこのデータを出せるのは僕らくらいですね。メーカーの新商品開発や、販促活動にNOINのデータを有効活用していただきたいです」(千葉)
コスメの領域では、消費者が何日もの間、数多くの商品比較検討することも珍しくない。例えばリップ購入の場合、1人あたり平均で250もの商品の比較検討をするのだという。
高まるコスメのオンライン需要の勝機
現在、アパレルのEC化率は13%ほど、それに対して化粧品のEC化率は6%すらない状況だ。商品のサイズも大きくなく、配送にも向いている。コスメ市場がEC化に進まない理由は、化粧品は消費材カテゴリーの中だと経験材だからだろう。コスメという領域において、百貨店の対面販売にECサービスが勝つことは果たしてできるのだろうか。
「コスメのオンライン購入の需要はたしかにあります。『実店舗に行き、何種類も試し、比較検討する』という購入に至るまでの一連のこの行為は女性にとって当たり前になってしまっている。最近でも、売り場がムチャクチャ混んでいて、商品買うだけでも普通に30分待ちなんてこともあるそうです。消費者の中には、間違いなく売り場に行きたくないという心理もあるはず。だからこそ、化粧品選びに多くの手間と時間をかけてしまっていることに女性が気付くことができれば、ひっくり返せるチャンスはあると思っています」(渡部)