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学生時代には、ダンスサークルに所属し、ブレイクダンスのチームを結成。大きな大会で活躍するほどの腕前だったが、ここでも金融について考えさせられる出来事があった。ある時、懸命に練習していた友人が、一時的に手元の資金が無かったことを理由に、大事な大会への出場を断念する姿を目の当たりにしたのだ。周りを見渡せば、程度の差はあれ、お金の悩みを抱えている同世代の若者が少なくないことがわかった。

社会人にもなると、奨学金の返済や、度重なる結婚式のご祝儀代、海外旅行の費用など、定職に就いていても、一時的な資金不足に苦労する友人たちを目にする機会は絶えなかった。人によっては、後払いの選択をとって、リボ払いや消費者金融の返済に追われているケースもあった。

実際、日本銀行の調査によれば、日本の単身世帯の2人に1人は貯蓄ゼロ。このうち10〜20代では、貯蓄していない割合が60%にのぼる。一方で、日本では、給与の月末締め翌月払いという慣習が浸透している。労働者にとって、もっとも身近な収入源である給料が、月に一度の給料日にしばられてしまうのでは、急な出費が必要になった際などに、対処することができない。

「身近な人たちの人生における“機会損失”を無くしたい。必要なタイミングで、必要なお金が手元に入る、自由なお金の流れを実現させていきたい」

この課題意識は、後藤がペイミーを立ち上げる大きな動機となった。



目指すは日本の新たな金融インフラ

同社が提供する「Payme」は、アプリを通じて、実際に働いた分の賃金から使いたい金額を最短で即日から引き落とせるサービスだ。労働者は、従来以上にお金の使い方を柔軟に設計できるようになる。例えば、新卒の社員など、働き始めの労働者は、最初の給与が振り込まれるまでの期間、手持ちの資金で生活をやりくりする必要があり、給与の振込は死活問題だった。クレジットカードや消費者金融に依存することなく、実際に稼いだお金を頼りに、精神的に安心した生活を送れる利点は大きい。

導入時や運用自体の費用はかからないので、企業もコストレスで柔軟な給与支払いを提供できる。勤怠・給与システムと連携し、通常、月次で締めていた給与計算を日次で自動集計するため、すでに即日払いの制度をもつ企業でも、会計ミスを防ぐとともに、経理担当の作業を省力化することが可能だ。福利厚生の一環として、従業員のモチベーション向上や離職率の低減につなげられる。2017年9月にサービス提供を開始すると、コールセンターや飲食、小売りなど、サービス業を中心に利用が拡大していった。

文=花岡 郁 写真=小田駿一

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