衛星インターネットのAstranis、来年の初打ち上げをSpaceXに依頼

スペースXのFalcon 9ロケット(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

アンドリーセン・ホロウィッツやYコンビネータらが期待を注ぐ、衛星インターネット分野のスタートアップ「Astranis」は8月26日、2020年第4四半期に予定する同社初の商用衛星の打ち上げを、スペースXに依頼すると宣言した。

サンフランシスコ本拠のAstranisは、アラスカ本拠の通信プロバイダー企業Pacific Dataportとの独占契約により衛星を打ち上げ、2021年のサービス開始を目指している。

Astranisの共同創業者でCEOのJohn Gedmarkは「特定エリアのインターネット接続を改善するという当社の目標の実現に、一歩近づくことができた」と述べた。

衛星インターネット分野ではこれまで大手企業が、数億ドル規模の予算を投じ、大型の人工衛星を打ち上げてきた。一方で、スペースXやOneWebらは、低軌道に数百もの小型衛星を送り込むプロジェクトを進めている。

そんな中、Astranisはワインクーラーほどの大きさの小型衛星を、低軌道ではなく静止軌道に送り込むことで、1基の衛星で広域にサービスを提供することを目指している。Astranisによると、この方法のほうがコスト的メリットも大きく、有利に戦えるという。

アラスカでは人口の約20%の人々しかブロードバンドにアクセスできておらず、今回の衛星は地元の人々のネットの利便性を大きく向上させることになる。

Astranisの衛星を利用したPacific Dataportのインターネットサービスは、7.5Gbpsの帯域容量を実現し、Astranisは数千ドルの売上げを得ることになるとGedmarkは述べている。

Astranisの衛星はスペースXのFalcon 9ロケットで、他の企業の衛星と相乗りする形で打ち上げられる。衛星の打ち上げを受託する企業は数社あるが、Gedmarkは打ち上げ可能なタイミングや価格を考慮してスペースXを選んだと述べた。

編集=上田裕資

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