前代未聞の二刀流 平野歩夢が挑むアスリートの限界 #30UNDER30

スケートボード選手 平野歩夢


三兄弟の次男である平野(歩夢)について「多分一番手をかけずに育ててきたと思います。だから小さいときは他の兄弟と比べるとコミュニケーションが少なかったかもしれません」と話すのは母だ。「ただ、小学6年生くらいから海外遠征が増えたり、彼が15歳でオリンピックに出たりしたのもあって徐々に接する機会が増えたかもしれませんね」



父と母、そして共にスノーボード選手である兄と弟と共に育った平野。遊ぶ楽しさや練習の厳しさを兄弟で共有しながら、家族一丸となって成長してきた。

4歳から始めて、小学6年生のころまでは週末を中心に1日の半分がスノーボード、半分がスケートボードを使った練習。毎日朝7時に家を出て、夜9時まで練習を行う日々だった。そんななかで、遊び盛りの小学生時代は、友達と遊びたくても遊べない時期もあったという。

初めて競技を続けることにしんどさを感じたのは中学生のとき。友達たちと遊べる時間も少なく、練習漬けの日々を送っていた平野は「正直やめたいと思った事もあった」という。「けど、それよりも、いま辞めてこれまで積み重ねてきたことがゼロになることのほうが嫌でした」

「スケートボードを始めたことで、この1年は全くスノーボードをせずに専念してきました。そのぶんビハインドはあるけど、これまでの積み重ねを信じていまは新しいことにチャレンジするとき。どちらも両立してオリンピックに出場した選手は過去にいません。まだ誰も成し遂げていないことを自分が達成することで、今後若い子たちが『スノーボードだけじゃなくてスケートボードも』って、セットで考えらえるくらいになったらうれしいですね。可能性がある限りはチャレンジしていきたいと思います」

<受賞者たちへの共通質問>
今後3年で成し遂げたいことは?



ひらの・あゆむ◎1998年、新潟県生まれ。木下グループ所属。 2014年ソチ五輪、スノーボードハーフパイプ競技にて銀メダルを獲得、スノーボードの最年少五輪メダリスト記録としてギネスに登録されている。16年「X-Games」制覇。18年には大怪我を乗り越えて出場した平昌五輪で二大会連続の銀メダルを獲得。スケートボードに転向した後の19年5月、全日本選手権で初優勝を果たし東京五輪出場を視野に入れる。

平野をはじめとした、個性あふれる「30 UNDER 30 JAPAN 2019」の受賞者の一覧はこちらから。若き才能の躍動を見逃すな。

文=石原龍太郎 写真=伊藤 圭

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