ヴィーガンが盛り上がるロサンゼルスに3年住んで気づいた、多様性の大切さ

ヴィーガンバーガー by Getty Images


私がLAで生活する上でのキーワードは、「オーガニック」(有機食品)「ヴィーガン」「グルテンフリー」(小麦など穀物のタンパク質成分であるグルテンを含まない食品)の3つに集約される。私はこのキーワードに関連するビジネスやニュースを誰よりも早く入手したいという気持ちが強く、フォローしているSNSやニュースレターなども、かなりニッチな分野になってきている。

日本ではヴィーガンやオーガニックというキーワードで発売されている商品は、どちらかというと健康意識の高い、ストイックなライフスタイルを思考している人向けという感覚が強く、まだまだ敷居が高いイメージではないかと思う。一方で、ヴィーガンを「押し付けがましい」「宗教的だ」などと批判する人もいて、常に議論の的になっている印象がある。

しかし、LAでは、いい意味で「ゆるい」のが特徴だ。ヴィーガンやベジタリアンのプロダクツを扱うお店も、実践する人も、非常におおらか。この街に暮らす人々を表しているかのように、一切押しつけがましくないのだ。人は人、他人の選択に文句をつけたり、口を出す人はあまりいない。こうしたLAのアイデンティティが、私がアメリカに住んでみて非常に心地よいと感じる部分でもある。


オーガニックにこだわっている「カフェ・グラティチュード」

体に良いもの、みんなに知ってもらいたいことは、しっかり世の中に周知させる。しかしその先の選択は個々の自由な意志に委ねる。この街に暮らす世界中からの移住者は、おおむねこんな感じだ。

今、カリフォルニアのバーガーショップでは、肉の代用品を取り入れる動きが大きく広がっている。「マクドナルド」「バーガーキング」「In-N-Out」などいくつかの大手有名バーガーチェーンでは、ヴィーガン向けの代用肉を使ったハンバーガーの販売を開始しており、このヴィーガンパテを販売している2大企業は「Imposible Foods Inc」と「Beyond Meat」だが、後者はヴィーガン企業として初めてNASDAQ上場を遂げた。

もちろん、「オーガニック」「ヴィーガン」「グルテンフリー」が、100%全ての人にとって良いものとは思っていないし、選択は人それぞれあっていい。自分の体質に合うか合わないかを知った上で食のライフスタイルを選択するほうが、結果的に体にとって良い作用があると思っている。

ヴィーガンというライフスタイルもあれば、肉や魚など、自由に食事を楽しむライフスタイルもある。さまざまなライフスタイルがあることを多面的に知ることによって、個々の人生がより豊かになるのではないか──そういう思いを持って、このコラムで発信し続けたい。

どんなことにも柔軟な姿勢で取り組み、受け入れる。これは食生活に限らず、人生全てにおいて自分にとってプラスになる。アメリカという大国に住み始めて、改めて実感させられている日々を過ごしている。

文=Mei Kato

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