ビジネス

2019.08.27 14:30

起業家は「スター」を目指していてはいけない|GROOVE X 林 要


ただ、最近は大企業からもエンジニアが流れてくるようになってきているので、凄くいい傾向だなと思っています。実際に大企業から飛び出したエンジニアがベンチャーでイキイキと働いている。これからもっと面白いことが起きてくるんじゃないかなと期待しています。



起業家は”役割”と考えられれば、決して挫けない

──では、ベンチャーナビの読者である起業家、起業家予備軍の方々へのメッセージをお願いします。

まず、僕は「起業ありき」という考え方はどちらかというと反対です。

起業家としての素養に「非常識な真実を発見できること」を挙げましたが、それを見つけられるかどうかというのは役回りだと思うんですよね。たまたまその時、その人に回ってきた「役割」にすぎないんですよ。

だから、起業家は「スター」を目指していてはいけないんじゃないかと思っています。世間から脚光を浴びる“かっこいいスター”を目指して起業するのって、もう古いんじゃないかな。今は起業家同士の戦いが熾烈すぎて、そういうモチベーションで起業していると勝てないんじゃないでしょうか。

それよりも、「起業家=役割」だと認識して、その役回りを大事に育てるというのが正しいのではないかと思います。起業家が役割だとすれば、やらなきゃいけないことをやってるだけなので、上手くいかなくても別に挫ける必要はありません。

起業家を役割ととらえるなら、他の支えるメンバーがとても大事であることもわかってきます。あなたが起業家だろうと、2番目以降の「支える人達」であろうとたまたま「役割」が違うだけなのです。



起業か、大きな夢を追いかける20番目の社員か

「起業ありき」ではなく、手がけるビジネスが世の中の新陳代謝に貢献できるのか、たとえば私どものように「日本の産業の新陳代謝に貢献することなのか?」という部分を判断基準にしていけばいいと思います。本当に貢献する事業なのであれば、必ず存在理由がありますから。

例えば、自分が小金を稼げるようなスモールビジネスの起業家になるのか、それとも「日本の産業の新陳代謝に貢献できる」ような大きな事業の20番目の社員として支えていくのか、どちらがいいかといったら、私は間違いなく後者を推します。私が組織人だったのでそういうマインドを持ってるだけなのかもしれませんが、日本にとってメリットがあるのは後者ですし、ひいては世界にまでその影響を広げる事ができます。結局、一人で出来る事って、限界があると思っています。

「注目を浴びるスターになる」「お金持ちになる」を目的に起業してしまうと、壁にぶち当たった時に折れやすい。そしてスターになるために、事業とは関係の無い部分で見栄を張る必要が出てくる。一方で自分を「役割」だと思って起業している人は、間違ったとしても「自分は役割じゃなかった。他の人を呼ぼう」と方針転換して、名参謀にピボットできますよね。

自分の「役割」だと思ってストイックに自分なりの起業家像を追求していくと、信頼してもらえて、ある程度ベテランの方ですら、意外についてきてくれます。この記事を読んで、少しでも勇気をもってやっていただけると嬉しいですね。

連載:起業家たちの「頭の中」
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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