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2019.08.30

急成長の米「不動産フィンテック」Better.com、累計270億円を調達

Monkey Business Images / Shutterstock.com


従来のサービスでは、金利の見積もりに約3日を要していたが、Better.comではこれを3秒に短縮した。事前承認も、従来の数週間から数分に短縮した。現在、同社の月間融資額は3億7500万ドルで、2019年末までに融資総額を40億ドルに伸ばす見込みだ。

「住宅購入のアマゾン」を目指す

Better.comが目指すのは、“住宅購入におけるアマゾン”だ。同社のサービスでは、金利の見積もりからローンの申請、必要書類への署名までを全てオンラインで行うことができ、手数料も無料だ。プロセスの迅速化により、住宅ローンの借り手は現金一括払いの購入者に対抗することが可能になる。

Better.comは、住宅購入者と住宅ローン債権を購入する金融機関とをマッチングし、金融機関がBetter.comに手数料を支払う。「現状のシステムでは、消費者よりもインサイダーが利益を得る仕組みになっている。我々はそれを変革しようとしている」とGargは話す。

今回調達した資金は、権原保険(不動産取引中または、取引完了後に、物件の権原=所有権に問題が発生した場合、それを保険でカバーする)や住宅保険など、既に提供しているサービスの強化のほか、仲介業者ネットワークの拡大や2020年1Qにリリース予定の生命保険の立ち上げに充当する予定だという。

同社はこれらの計画を達成するため、年末までに従業員数を現在の700名から2000名に増やすという。

Better.comによる提供サービスの増加に目を付けたのが、投資ファンドのActivant Capitalだ。同社は、BoxedやIndigo、Forterにも出資している。

「Vishalは優れたビジョンを持つ起業家で、壊れたシステムを再構築するという志を持っている。Better.comは収益を上げているだけでなく、顧客の役に立っている。今後は、さらに大きな規模で顧客を支援するだろう」とActivant Capitalの創業者で、Better.comの取締役でもあるSteve Sarracinoは話す。

現在、Better.comは全米39州で事業を行うライセンスを取得している。残り11州でもライセンスを申請中で、今後は全米でサービスを提供する予定だ。

「今は大きな成長の波に乗っているが、まだやることは多い。米国では5200万世帯が住宅ローンを組んでいるが、Better.comの利用者は3万世帯に過ぎない。我々の目標は、全ての人を支援することだ」とGargは語った。

編集=上田裕資

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