小石にそっくりの「プラ製の人工石」が世界の海に拡散中

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イギリス南西部のコーンウォールの海岸で、石より軽い素材でできた奇妙な“人工の小石”が見つかった。化学分析によって、この小石がポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチックで出来ていることが分かった。

ポリエチレンは最も一般的なプラスチックで、2017年時点では年間1億トン以上のポリエチレン樹脂が製造され、プラスチック全体の34%を占めているとされた。レジ袋やプラスチック製のフィルム、ペットボトルなどの容器に使われることが多い。一方で、ポリプロピレンはポリエチレンに比べてわずかに固くて耐熱性が高く、梱包に使われることが多い。2013年のポリプロピレンの生産量は約5500万トンだった。

英プリマス大学の環境科学者、アンドリュー・ターナーが学術誌「Science of the Total Environment」に発表した論文では、今回発見された人工小石が「パイロプラスチック(pyroplastics)」と名づけられ、プラスチックごみを燃やすことで作り出すことに成功している。実験では、白や色のついたプラスチックを燃やすと灰色か黒になることが確認された。

パイロプラスチックの滑らかな表面は、波や海流にさらされることで本物の小石のようになる。また、さらなる化学分析によって高濃度の鉛やクロムなどの有害物質が含まれていることも分かった。これらの物質はプラスチックを染色する際に使われる色素に由来している。

研究チームはパイロプラスチックが一般的に存在しているものの、本物の小石に似ているためほとんど認識されていないと考えている。

こういったプラスチック汚染は新しいものではない。ハワイのオアフ島のビーチでは、キャンプや釣りを楽しむ人々が灯した火によってできた「プラスティグロメレート(plastiglomerate)」と呼ばれる、溶けたプラスチックと岩の塊が見つかっている。

プラスティグロメレートやパイロプラスチックは今後何百万年もの間、地質に残り続けることになる。

編集=上田裕資

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