サンパウロが真っ暗闇に、アマゾンの「巨大山火事」の脅威

アマゾンの森林火災(Getty Images)

8月19日午後、ブラジルのサンパウロを黒い雲が覆い、昼間にもかかわらず、市内は暗闇に包まれた。SNSに現場の模様を投稿した人の多くは、アマゾンで起きている森林火災が原因だと考えている。

「非常に濃い密度の黒い雲が空を覆っている」とブラジル国立気象研究所の気象学者Franco Nadal Villelaは現地紙の取材に応えた。Villelaによると、サンパウロを覆った雲は海からの冷たい空気と森林火災の煙から生じたもので、煙はパラグアイやボリビアで発生した火災のものである可能性が高いという。

宇宙から見ると、アマゾンやその南の地域で発生した森林火災の煙がブラジルを横断している。EUのコペルニクスプロジェクトの衛星が捉えた画像では、アマゾンの南東部から大西洋にかけて巨大な煙のカーテンが覆っているように見える。

EUのコペルニクス気候変動サービスのデータによると、今年の7月は世界中で観測史上最も暑い月になったとされ、ブラジルでは8月に入り、森林火災がアマゾナス州とロンドニア州に広まった。

6月と7月には、シベリアでも大規模な森林火災が発生し、グリーンランドやアラスカを含む北極圏でも自然火災が起きた

ブラジルの国立宇宙研究所が先日発表したデータによると、2019年1月から8月20日までに約7万4000件もの山火事がブラジルで発生した。これは2013年の観測開始以来で最多だという。

さらに、8月の森林火災発生件数は3万3000件近くに達し、前年同期比264%増という異常な件数に増加した。

アマゾンでは毎年この時期に森林火災が増加する傾向にある。背景には、乾季の訪れや、現地の農民による焼き畑農業の習慣がある。NASAによるとアマゾナス州とロンドニア州における森林火災の発生件数は平均を上回っているが、アマゾン盆地全体でみると平均を下回っているという。

一方で、アマゾンで森林火災が最も多くなるのは9月とされ、来月にはさらなる増加も懸念される。

編集=上田裕資

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