フジロック参戦20年目。通い続ける理由、そして過ごし方

グリーンステージでの筆者


豪雨も演出のように見えた2日目
2日目。雨の予報のこの日は予報通りの1日となるのだが、まだ晴れ間が覗くうちにキャンプサイトの奥にあるピラミッドガーデンというエリアへ。毎年出店している富ヶ谷のコーヒーショップ『Little Nap』で、アイスコーヒーとトーストを朝食に。これぞチルアウトな、ゆったりとした時間が流れ、フジロックで最も幸せを感じる時間を過ごす。



部屋で一息ついて、クルマで温泉へ。会場から15分くらいのところに、少しだけ穴場の『貝掛温泉』という秘湯がある。この何年かでだいぶ認知度が高まってきているのか、混雑度が増している。露天風呂が最高で、わざわざ足をのばして行く価値がある。

温泉から戻ると、雨が降り始めていた。小雨のうちにランチをと思い、入口ゲート手前、畜産の小川グループのブースで牛丼を注文。去年はかなり奥にあるORANGE CAFEエリアに出店していたが、今年は場所が移動していて、牛丼にスープがつくなどパワーアップしていた。

美味しさが知られていないのか、例年行列が少なくすぐ買えるのだが圧倒的に美味しい。去年、今年はここをフジロックベスト飯に挙げたい。スープにごはんとお肉をかけると、これまた最高だった。味に比例せず客足がそこまで盛況でなかったようで、来年は出店ないかもなぁと心配にもなったりもするのだが。



グリーンステージに移動しまったりしているうちに雨が強くなってきたのだが(この日はここから雨足が弱まることはなかった)、『DYGL』を観ようと屋根付きのステージのレッド・マーキーに移動。小腹が空いたので、レッド・マーキーの手前のマーキーエリアで、おやつにバターチキンカレーを食べる。

レッドマーキーを覗くも、雨宿りの観客も多くサウナ状態で早々に撤収。グリーンステージに戻りアジカンこと『ASIAN KUNG-FU GENERATION』を観る。このあとホワイトステージの『クラムボン』をと思っていたが、雨が強くなりすぎて、一旦宿に退避。

ホテルの部屋では、まるで正月かのようなダラダラ気分で、缶チューハイを飲みながら隅田川花火大会のテレビ中継を見て、ムダな時間を過ごす。少しだけ昼寝して、ヘッドライナーの『SIA』に備える。僕の中では、ケミカルを超える今回のメインだ。こういう時に役立つ雨具の予備に着替え、豪雨の中、再度グリーンステージ、モッシュピットに向かう。

そしてSIAが登場。中央のステージには、SIAのアバターとも言える16歳の天才少女マディ・ジーグラーが司会のような立ち位置に。彼女を中心としたダンサー陣、両サイドのビジョンにはステージの様子が映されているのかと思いきや、そちらはスタジオで別途撮影された映像で、その映像のとおりにステージが再現されていたのだ。なんとも凝った、モダンバレエのインスタレーションのような内容で、豪雨もまた演出のようであった。

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hard rainy "chandelier". ⠀ #sia @siamusic #bestact2019 #dior #tvcommercialsong

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終盤、ナタリー・ポートマンが出演したDiorのCMで日本でも有名になった『Chandelier』が雨の苗場に響き渡る。豪雨の中の観客の一体感、雨の辛さを吹き飛ばす極上のパフォーマンス、こういう時間があるからこそ、フジロックはやめられない。

これを求めて毎年来ているのだなと感じる瞬間でもあった。終演後、ホテルでさらに着替え、今年から出店がはじまったホテル出口そばの山形居酒屋でおでんなどを満喫し、あっというまに就寝。翌朝見たら、会場のブースやテントサイトの一部は浸水していて、水害レベルの雨だった模様。これも、フジロックらしい景色と言えるのかもしれない。
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文=山本憲資

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