フジロック参戦20年目。通い続ける理由、そして過ごし方

グリーンステージでの筆者


フェスから仕事に戻る落差を感じない3日目

3日目には別の知人たちも合流し、わいがや感が増す。この日もピラミッドガーデンで朝食を。前夜の居酒屋は食べ物が売り切れであまり食べられなかったので、朝からカレー。この日も午後から天気が崩れるとの予報だったが、朝は晴れていて、そのままほとんど降らずに終わるいい一日となる。



この日はまず、フィールド・オブ・ヘブンの『渋さ知らズオーケストラ』を観る。こちらもフジは2000年が初出演で、言わば僕と"同期"みたいな思い入れのあるグループ。昨年亡くなったサックスの片山広明がバルーンでステージに登場し、序盤からエモーショナル。

片山さんは生前はフジロックの常連であった忌野清志郎のステージにもよく出ていたので、個人的にも思い入れがある。去年、杉本博司が手掛ける江之浦測候所の光学硝子舞台でパフォーマンスをしていた巻上公一でゲストで出ていて、一見つながりのなさそうなものがつながっていく愉しみを感じる。

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day3. #渋さ知らずfeat巻上公一 @koichimakigami #toe @yamayamawo #jamesblake @jamesblake #ほぼ雨降らずでよい一日

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フィールド・オブ・ヘブンといえば、赤穂のピザの名店『さくらぐみ』が毎年石窯持参で出店していて、マストゴーのスポットになっている。大行列だけど、これは食べる価値アリ。渋さのMC渡部さんが、このお祭りは非日常ではなく日常なんだだとフジロックのことを熱く語っていたけど、今思うと、僕も20年前からそれを真に受けて生きてきてしまったのかもしれない。



レッドでの『Stella Donnelly』も気になってはいたものの、ビールを飲んだりしているうちに結局辿り着けずになってしまい、グリーンステージの『NEVER YOUNG BEACH』を聞きながらまったり過ごした。小腹が空いたので、ホワイトステージの手前の『ところ天国』で『ハイジ』のカレーを。アルペンスキーの元オリンピック選手、皆川賢太郎さんのご実家がやっている民宿が出店していて、皆川さんが実際に取り仕切っているのだが、揚げ餃子が乗ったここのカレーも美味しいのだ。三日間で何万食もでるという超人気カレー。



そしてこの日はホワイトステージでシメ、『James Blake』である。小雨は降っていたものの昨日の雨に比べれば誤差のようなもので、この程度の悪天候なら演出としても悪くなく、シンプルなステージがよく映えていた。この日の演奏は1時間ちょっとと予定より早く終わってしまい少し残念だったが、あとから調べてみたところ直前に機材トラブルがあり、一部の楽器が故障して演奏できなくなった曲があったようだ。

3日目の夜、来年の日程が発表された。オリンピックの影響で8月の下旬に開催とのこと。この時期の苗場は、例年の開催時期に比べて暑さのピークは過ぎているとようだから、来年はどんなフェスになるのか、今からもう楽しみになる。夜はさくっと何杯か飲んで、そそくさとベッドへ。当たり前だが、月曜からは仕事なのだ。

朝6時半にホテルを出て、10時頃に帰宅してすぐに出社。特に起業してからだが、日々の仕事への興奮や愉しさからなのか、意外にフェスから仕事に戻るにあたっての気持ちの切り替えや落差がない。きっと、今は毎日がフェスティバルみたいなところもあるのだろう。もしかしたら、近年はそれを確かめにフジにいっているのかもしれない。

ともあれ2019年のフジロックもこれにて終了。そしてまた日常がはじまった。

文=山本憲資

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