もはや「流行」ではないeスポーツ、16歳が300万ドルを獲得

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ニューヨーク市クイーンズ区にある世界最大規模のテニス競技場に7月末、およそ2万5000人のファンたちが詰めかけた。彼らの目的は、100人の「アスリート」たちが世界一のタイトルをかけて戦う試合を見ることだった。オンラインで観戦した人も、数百万人に上った。

だが、観客たちはセリーナ・ウィリアムズやロジャー・フェデラーといったテニス界のスターたちを見るために集ったわけではない。彼らのお目当ては、若者たちが対戦するビデオゲームの試合だ。

この「フォートナイト ワールドカップ」で優勝したのは、ペンシルベニア州に住む16歳の少年だ。賞金300万ドルを手にした…繰り返すが、16歳だ。その年齢のゲーマーが、プロゴルフのタイガー・ウッズがマスターズでの優勝で獲得した賞金よりも、100万ドル多くを勝ち取ったのだ。

eスポーツの競技大会ではいまや、ゴルフの最も権威あるトーナメントよりも高額の賞金が支払われている。

数百万人が関わる業界に

プロの選手たちが戦うビデオゲーム(eスポーツ)は、大きな盛り上がりを見せている。「本物の」スポーツではないとして、単なる流行だと考えている人も多いが、この活況を呈する業界には実際のところ、膨大な金額が注ぎ込まれている。オランダのゲーム調査会社ニューズー(Newzoo)によれば、eスポーツの市場規模は今年、11億ドルまで拡大する見通しだ。

米国ではNBAとNFLをモデルにしたeスポーツリーグが設立されている。例えばフィラデルフィアには、NFLチームのイーグルスだけではなく、プロのeスポーツチーム、「フィラデルフィア・フュージョン」が本拠を置いている。

NFLと同じように、eスポーツには何百万人もの熱烈なファンたちがいる。大きな大会を観戦するためなら、100ドル以上のチケットにも進んでお金を出す人たちだ。そして、プロのeスポーツリーグの一つでは、選手の平均給与は32万ドル(約3400万円)だ。

ブームが生む新たな「富豪」

ニューズーによると、世界のeスポーツファン(視聴者数)は今年、4億5000万人を超えると予想されている。この人たちの大半は、インターネットで観戦することが多い。

例えば、ゲーム実況で高い人気を得ている英国のゲーマー、ダニエル・ミドルトンのユーチューブのチャンネル登録者数は、2000万人以上だ。そして、フォーブスの調査によれば、ミドルトンの昨年の収入は、1850万ドルに上っている。

ユーチューブは実際、全く新たなタイプの大富豪たちを生み出している。ユーチューブで最も稼ぐ人の上位10人のうち、約半数がゲーマーだ。彼らの2018年の収入は、合わせて5000万ドル以上となっている。

過去12か月間に、ゲームコンテンツはユーチューブで合計500億時間にわたって視聴された。また、1日当たりの視聴者はおよそ2億人だ。すでに多くの人が知っているとおり、ユーチューブの動画には広告を掲載することができ、投稿者はそれで収入を得ている。最も高収入のゲーマーたちがユーチューブから年間5000万ドル以上を得ているなら、同社の1日当たりの収入は、容易に数億ドルを超えているということだろう。

eスポーツは、ユーチューブで最も多く視聴されているコンテンツの一つだ。つまり、何百万人もがプロのゲーマーたちの動画を毎日視聴していれば、何もせずにいてもユーチューブには、大きな収入がもたらされる。

編集=木内涼子

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