商談成約率を倍にした「盲点の窓」を開く自己プロデュース術

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記憶に残る自己紹介

具体的に私の場合、(1)と(2)のギャップを埋めるために失敗を繰り返し試行錯誤しました。

私の会社名が「株式会社俺」という攻めすぎた名前です。さらには事業の内容は、

・お笑い芸人からの転職支援「芸人ネクスト」
・笑いの力で組織を変える「コメディケーション」

という2つの事業を展開しています。

(1)自分から見た自分

 ・他社になく興味が湧きやすい事業内容だ
 ・おしゃべりが得意で誰でも話を聞いてくれる
 ・元芸人というだけで珍しく、会いたいと思ってもらえる

などと思っていました。しかし、実際に営業をして気づいたことは

(2)他人から見た自分

 ・会社名も事業の内容も全部怪しい 
 ・話のテンポが良くて逆に胡散臭い
 ・元芸人ということもありビジネスを知らない可能性がある

上記のように(1)と(2)に恐ろしいほどのギャップがありました。

独立したばかりの頃はこのギャップに気づかず営業をしていたので、お客様と会ってもらうことすら困難でした。失敗を繰り返したことで正しく(2)を認識することができました。

そして、(3)を改めて設定することにしました。

(3)将来なりたい自分から見た自分

 ・ビジネスで実績があり自社の社員を任せても良い
 ・戦略的に物事を考えているが面白く接しやすい

このように私は自分のことを認識しています。私がやっている自己プロデュースは、「白いシャツ」「紺色のネクタイ」「スーツ」を身につけることです。

なぜかというと、「元お笑い芸人」という肩書きが初対面の相手から見ると「軽い」「ビジネスを知らない」などの印象を持たれてしまうので、信用してもらうために「よりビジネスマンらしい見た目」を演出しています。

「黄色いネクタイ」の場合ですと、成約率が20%落ちることがわかりました。それはキャラクターが明るくネクタイも明るい色なのでうるさい印象になってしまうことが理由として挙げられます。

ただ、それだけですと「真面目なだけ?」と思われてしまうので名刺のサイズをiPadと同じ大きさにしています(写真1)。


(写真1)明らかにサイズが大きい名刺

だいたい、通常の名刺の倍の大きさですね。 これを出すことによって、お客様が「でか!」「アプリでスキャンできるの?」などのリアクションがあり、「元芸人さんだけあるな」と期待に応えることができます。

さらに続けて、「実はこの名刺はマーケティングの一環なんです。弊社のビジネスは、全てお笑いをベースに作られているので、名刺を渡してリアクションがなかった場合は弊社のお客様になる可能性は限りなく低いと判断させてもらっています」というトークまで準備しています。

このトークを聞くと大抵の相手は「本当に考えている人だな」と感心してくれます。この自己紹介を使い始めてから商談での成約率が劇的に高まり、売り上げは昨年の2倍に達しました。

自己プロデュースした上での自己紹介の作り方がイメージ湧いたでしょうか? 


発売1カ月で3刷となった『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』(日本経済新聞出版社)

文=中北朋宏

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