商談成約率を倍にした「盲点の窓」を開く自己プロデュース術

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一流は自己プロデュースを徹底している

初対面において、人は7秒で相手を判断し、その印象は半年間持続するという。これを聞くと「自己プロデュースしている人」と「自己プロデュースをしていない人」では、圧倒的な差が生まれることが明らかです。

にもかかわらず、「身につけているもの」や「発する言葉」まで意図的に作り上げている人とお会いすることはほぼありません。

しかし、エグゼクティブとお会いすると必ずと言っていいほど、自己プロデュースを念入りにされています。

例えば、私のお世話になっている外資系コンサルティングファームの元パートナーの方は、26歳から帝国ホテルに通っています。相手にする方が企業の役員以上が多いため「一流」を知るためだそうです。

また、彼は相手に「接しやすく」「明るい」印象をつけるためにネクタイ、リュック、ペン、ノート、携帯ケースに至るまで全てオレンジ色で統一しています。

有名人でいえば、孫正義さんは講演会の最初に自分の髪の毛の話題をしながら笑いを生み出し、「聞きやすい空気」をつくられてから本題に入るそうです。

お笑い芸人でいうと「ピンク色のベスト」を羽織り、「テクノカット」で髪型をきめ「トゥース」という言葉を発する方も自己プロデュースをしている代表例と言えます。

技術が発達し競合他社と差別化しにくい中で、個人として「選ばれる人」になることが重要です。営業で言えば、お客様の記憶に残らなければ成果を出すことはおろか、もう一度お会いしてもらうことも難しいでしょう。

「相手にどう見えるか」について考える必要性がわかったところで、次からは、年間3000名ほどが目指す「お笑い芸人」という世界のなかでしのぎを削り、私が見出した具体的な方法を紹介していきましょう。

詳しくは自著『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』に記載させていただいております。ぜひ一度、お試しください。

「イタイ奴」にならないために

ポイントは「3つの目」を活用することです。3つの目とは、(1)自分から見た自分(2)他人から見た自分(3)将来なりたい自分から見た自分を指します。この3つから見た自分を正しく認識することが重要です。

(1)自分から見た自分

正しく認識するためには、鏡を使って客観的に自分を見たり、自分とはどんな人間なのかを自分に質問したりしていく必要があります。

(2)他人から見た自分

「ジョハリの窓」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 図1をご覧ください。 相手から見た自分とは「自分は気がついていない」けれど「他人は知っている」すなわち、「盲点の窓」を指します。

この窓を開ける方法は一つしかありません。それは、思い切って「自分をどう思っているか」人から聞くことです。客観的に自分を把握していないと必ず自己プロデュースにズレが生じます。そういう人のことをお笑い芸人の中では「イタイ奴」と呼びます。


(図1)ジョハリの窓

(3)将来なりたい自分から見た自分

改めて自己プロデュースする目的をセットする必要があります。現在感じている自分への「怒り」をもとに描いていくといいと思います。 なぜ、「怒り」をもとに描くかというと「怒り」とは自分への「問題意識」だからです。

問題だと思うということはその背景に「こうなりたい」が必ず隠されています。 この3つを活用して自分をデザインしてみてください。

注意すべきポイントは、(1)自分から見た自分を把握し、(2)他人から見た自分を人から聞き、(1)と(2)のギャップを認識することです。このギャップが埋まらない限り、正しく自分を理解することはできません。

また、プロデュースしたい自分像が思い描けない場合は、尊敬できる人をマネることから始めてください。お笑い界では、落語・漫才でも、まずは師匠や面白いと思う先輩の「ネタ」を完全コピーするところから始めます。

ここからは、私の例をもとに、自己プロデュースの活用法をご紹介します。
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文=中北朋宏

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